「じゃあ、今度こそ真面目に答えてくれる?」
仕切りなおしだと言わんばかりに、セツイは言う。
ソファーに片足を上げ、それを両手で支えている。
「うん。もちろん。」
セツイはどう思っているか知らないが、今までも自分は真面目だったと瑞希は思う。
ふざけているのは、彼の方だ。
「早速本題。時間を操れたらいいなって思ったこと無い?」
にっこりと微笑んでからセツイは目の前のランプに手を伸ばす。
今度は、瑞希が固まってしまう番だった。
何で、彼はこんなにも瑞希の事を知っているのだ?
時間がうんぬんと言う事は、玲しか知らないはずだ。
丁度一週間前の帰り際、2人で話した事を今日、始めて会ったばかりのセツイが知っている訳がない。
では、何を根拠に彼はそんな事を言っているのだろうか?
ランプから手を離し、瑞希に視線を合わせる。
何をしたのかは分からない。
「瑞希。答えは?」
瑞希は答えずに俯いている。
ふぅ~。
とソファーに完全に身を預けながら頭上を仰いで、セツイが息を吐き出す。
「言いたくないのなら、言わなくていいよ。分かってるから」
え?
今、セツイは何と言った?
分かってる?
何を?
「そもそも、キミがこの店に来て、品物を買ってる時点で僕の客だからね」
ランプの炎が、ジッと音を立て揺らぐ。
「知ってた?下に並んでる物は、全部僕の手作りなんだ。」
瑞希を放置して、セツイは喋りだす。
「この店が、何を売ってるかは知ってる?」
「?アクセサリーとか小物じゃ」
問われて、瑞希は冷静に考える。
「うん。そうだね。それも売ってる。」
セツイはやはり簡単に流してしまう。
それ以外に何が売ってると言うのだ。
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