「ねぇ、それ時間くるってない?」
「えっ?」
「腕時計」
「うそぉ、また?」
瑞希と玲がおかしな雑貨屋に行ってから1週間が経っていた。
「え?またって?」
「あれ?玲、知らないんだっけ?」
「ん?何?ゆんちゃんは知ってるの?」
「うん、最初に見つけたの私だもん」
今は、午後の長い昼休み。
3人はいつものように、屋上で昼食を取っている。
直接、コンクリートの上に座り込み円を作って色々な話をしていた最中に、由月が話を切り替えた。
「これで、3回目なの」
「狂うのが?」
「そう、しかも、遅くなったり早くなったり色々」
「壊れてんじゃない?」
「そう、だから、私は早く買った店行って直して貰ってくればって言ってるの」
「うん、それはゆんちゃんの言うとおりだよ、瑞希」
「そう?」
「「うん」」
と瑞希の不思議そうな声で尋ねる声に、玲と由月が力強く頷く。
「じゃあ、今日行こうかな?」
二人に圧倒される形で、瑞希が提案する。
「うん、早いうちに行ってらっしゃいな」
「あれ?由月、今日もバイトなの?」
絶対ついてきてくれるものだと思っていたらしく、瑞希の声のトーンが極端に下がる。
「まぁねぇ~」
対する、由月は流すような答え方だ。
「玲は?」
「あたしは、今日は忙しい」
「しょうがない。1人で行くか」
期待込めて聞いたが、帰ってきた答えは、あまり嬉しくないものだった。
「お土産よろしくねぇ」
「何で?」
おかしな発言をする玲を瑞希が半眼で睨む。
「そろそろ、戻ろ瑞希、玲」
場を取り成すように、由月が二人に声をかける。
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