気の向くままに徒然と・・・
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遼 莉杏
性別:
非公開
自己紹介:
自称、「言の葉」使いの物書き。

遼 莉杏と書いてハルカ リアンです。


最近のマイブームは
『薬屋探偵妖綺談』シリーズ
羞恥心

創作仲間・相互リンクしてくれる方を常に募集中。
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「ねぇ、それ時間くるってない?」
「えっ?」
「腕時計」
「うそぉ、また?」
瑞希と玲がおかしな雑貨屋に行ってから1週間が経っていた。
「え?またって?」
「あれ?玲、知らないんだっけ?」
「ん?何?ゆんちゃんは知ってるの?」
「うん、最初に見つけたの私だもん」
今は、午後の長い昼休み。
3人はいつものように、屋上で昼食を取っている。
直接、コンクリートの上に座り込み円を作って色々な話をしていた最中に、由月が話を切り替えた。
「これで、3回目なの」
「狂うのが?」
「そう、しかも、遅くなったり早くなったり色々」
「壊れてんじゃない?」
「そう、だから、私は早く買った店行って直して貰ってくればって言ってるの」
「うん、それはゆんちゃんの言うとおりだよ、瑞希」
「そう?」
「「うん」」
と瑞希の不思議そうな声で尋ねる声に、玲と由月が力強く頷く。
「じゃあ、今日行こうかな?」
二人に圧倒される形で、瑞希が提案する。
「うん、早いうちに行ってらっしゃいな」
「あれ?由月、今日もバイトなの?」
絶対ついてきてくれるものだと思っていたらしく、瑞希の声のトーンが極端に下がる。
「まぁねぇ~」
対する、由月は流すような答え方だ。
「玲は?」
「あたしは、今日は忙しい」
「しょうがない。1人で行くか」
期待込めて聞いたが、帰ってきた答えは、あまり嬉しくないものだった。
「お土産よろしくねぇ」
「何で?」
おかしな発言をする玲を瑞希が半眼で睨む。
「そろそろ、戻ろ瑞希、玲」
場を取り成すように、由月が二人に声をかける。



「そういえば、玲?」
「ん?」
「噂、他には聞いてないの?」
「何が?」
「夢想屋」
「あ~」
「何?噂って?」
下校するのも3人はいつも一緒だ。
教室で、道が空くのを待ってから学校を出、駅に向かい電車に乗り込む。
帰宅ラッシュになる前の中途半端な時間の電車は空いている。
ドア付近に3人で立って、迷惑にならない程度の音量で雑談をする。
「ん~、そういえば、天使がいるって」
「へ?」
「テンシ?」
瑞希がおかしな声を上げ、由月が言葉を繰り返す。
「なにそれ?」
「天使って、あの天使?頭にわっかがあって、背中に羽の生えた?」
「ん~、聞いただけだから、何とも・・・」
「それが、不思議な子なのかな?」
「さぁ~?」
「ん~、謎ばかりの店なのね、私も行きたくなっちゃった」
「んじゃ、一緒に行こう!」
電車が駅に入りスピードを落とす。
瑞希が最後の足掻きだと言わんばかりに、由月を誘う。
「無理、バイトは休めません。ただでさえ、今大変なんだから」
「しょうがないか、じゃあ、明日ね。バイバイ!」
すんなりと交わされてしまい、仕方なく電車から降りる。
「バイバイ!」
「また明日ね~!」

ドアが閉まるまで手を振りつづけ、電車が見えなくなるまで見送ると、人がまったくいなくなったホームを進む。
「また、あの坂上るのかぁ」
思わず出てしまった独り言に、慌てて周りを見回すがそれを聞きとがめる人間はいなかった。

1人で黙々と上ったからか、前回よりは時間が短縮できたが疲れは酷かった。
目の前には、1週間前と同じように、悠然とレンガの建物が存在する。
カラン、カラン
重たいドアをひっぱり開けると、ドアについたカウベルが来客を告げる。
「いらっしゃい」
入った途端に横から声がかかる。
「え?あっ、どうも、いらっしゃいました」
思ってもいなかった声がかかり、どう考えてもおかしい返事をしてしまう。
「今日はどうしたんだい?」
瑞希のおかしな返答にも、表情1つ変えずに尋ねてくる。
1週間前とは違い店内は明るい。
きちんと、営業しているらしい。
「あっ、あの。こないだ買った時計が調子悪いみたいで・・・」
「修理かい?」
「は、はい」
瞬間、悩む仕草を見せるが、すぐに気付いたようで店の奥、階段がある方へと向かう。
そして、階段の横の壁を何度か叩く。
コンコンコン。コンコンコン。
数度叩くが反応がない。
「さては、寝ておるな」
「え?」
「ちょっと、待っておいてもらってよいかな?」
「はい」
瑞希が上を見上げて待っていると、小さな声だが上から声が降ってくる。
「テンシ、テンシ。仕事じゃよ。」
少し間があり、再び声が降ってくる。
「修理だそうだ、お客さんがお待ちだ。」

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