気の向くままに徒然と・・・
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プロフィール
HN:
遼 莉杏
性別:
非公開
自己紹介:
自称、「言の葉」使いの物書き。

遼 莉杏と書いてハルカ リアンです。


最近のマイブームは
『薬屋探偵妖綺談』シリーズ
羞恥心

創作仲間・相互リンクしてくれる方を常に募集中。
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あれ?
頭の中には疑問符が飛びかう。
「・・・・・・・」
無言でドアに視線を固定したままフリーズしてしまう。
「ねぇ、時計はいらないの?」
「えっ?」
振り向くと、すぐ後ろに腕時計を持ったセツイが立っている。
「その扉」
くすくすと笑いながら、セツイは話す。
「開けなくて正解」
そして、良く考えてごらんと最後に付け足す。
「思い出して・・・って言った方が早い?」
思い出せと言われても、いつ頃の事を思い出せばいいのかわからない。
ドアを見つめたまま数秒。
あっ、そういえばこのドア、ノブが無いんだ。
手を引っ掛ける部分も存在しない。
いったいどうやって開けるのだろうか?
しかし、違和感はそれだけでは無い。
「あっ!」
「僕の言いたい事分かった?」
コクコクと瑞希は何度も頷く。
そういえば、この部屋に入るのにドアなんて通っていない。
急な階段を上がってきたので、ドアが無いのだ。
床下から出てきたと言っては大げさがだが、それに近いものがある。
「はい。さぁ、説明するから座ってもらっていいかな?」
時計を差し出しながらセツイがソファーへ視線を送る。
「ごめんなさい」
「ん?何でや?誤る事ないやろ」
人懐っこい笑みを浮かべてセツイが瑞希の手を取りその中に時計を落とす。
何故か、その口調は最初の可笑しな関西弁だ。
「紅茶、いれなおしてくるから待っときぃな」
それだけ、言い置いてセツイは瑞希の前から姿を消した。



お盆を片手に戻ってきたセツイはまるで、どこかのカフェのウェ-ターの様だった。
それだけ、その姿が様になっているのだ。
カップが2つとポットが載ったお盆を、机に降ろす。
「シノ。仕事だ」
どこか、空間へ向かって呼びかける。
彼が何をしたいのかが瑞希には、まったく理解できない。
すると、バサッバサッと妙な音がする。
それは、すぐに姿をあらわした。
「鳥?」
「セツ。仕事?珍シイネ?3年ブリ?」
「シノ。おしい、3年じゃなくて、3ヶ月だよ」
どっちにしても、まったく客が来てない事が分かった。
「瑞希」
「はい!」
急に呼ばれ、思わず真面目に返事をする。
声が大きすぎたらしく、セツイが顔をしかめる。
「これは、シノ。これから全部説明してくれる」
「鳥が?」
「そう、鳥が」
「オ嬢チャン、失礼ダネ。鳥ジャナイヨ、違ウネ」
「どう見ても鳥だろう、シノ」
「ソモソモ、シノ、ジャナイネ、シーヤンヌ・ワーシャルノ。セツ、短縮シスギ」
「そんな長い名前、いちいち呼んでられるか」
「ジャア、セメテ、シーヤンヌ、ト呼ンデヨ」
「そんな、今更」
「セツ、名前ッテ大事。世ノ中デ一番短イ呪イッテ言ウンダ」
「呪いじゃなくて、シュ。確かに呪いっていう字だけど」
「ソウ、ソレ。サスガ良ク分カッテル。セツ」
「じゃあ、シノ、僕の事をフル-ネームで呼んでくれるのか?」
「嫌ダネ、アンナ長イノ。セツヲ、テンシ、ナンテ呼ビタクナイネ」
「テンシ、じゃなくて、あまつか。」
「モウ、ドウデモイイヨ。セツニハ頼マナイ」
「そうしてくれ」
セツイとその肩に乗った鳥が、テンポのいい会話を繰り広げる。
瑞希には入る隙がない。
「オ嬢ハ、呼ンデクレルヨネ?」
「え?私?シー・・・なんだっけ?もっかい言って。」
急に降られても、咄嗟に返事をするのは難しい。
ちょっと前の会話を思い出しながら、鳥のフルネームを記憶からひっぱり出すが上手くいかない。
「モウ、イイネ。諦メルヨ」
「最初からそうしてくれ」
「えっと、ごめんね。じゃあ、何て呼べばいい?」
ふてくされてしまった鳥は、そっぽを向いてしまう。
セツイはまったく気にしていないが、最後に追い討ちを掛けたのは瑞希なので、放っておく訳にもいかない。
「いいよ。シノで」
何故かセツイがそう答えて、鳥を肩から手へと移す。
「シノ。ほら仕事」
「ショウガナイネ。セツノタメニ、ガンバルヨ」
「えっと、よろしくお願いします」
頑張ると宣言した鳥に向かって瑞希は頭を下げる。
「イイネ。オ嬢、礼儀ハ大切ネ。エット、ドコカラ説明スル?」
「全部」
「セツ?今マデ何シテタノ?」



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