気の向くままに徒然と・・・
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プロフィール
HN:
遼 莉杏
性別:
非公開
自己紹介:
自称、「言の葉」使いの物書き。

遼 莉杏と書いてハルカ リアンです。


最近のマイブームは
『薬屋探偵妖綺談』シリーズ
羞恥心

創作仲間・相互リンクしてくれる方を常に募集中。
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「ソノ腕時計ハ、セツガ作ッタモノナノネ」
クッキーも作れて、腕時計も作れる少年。
ってどうなのだろうか・・・瑞希の思考は結構どうでもいい方へと向かっている。
セツイがいなくとも、話を進めるらしく突然切り出し、シノはそのまま突き進む。
「他ニモ、下ニ並ンデルノミンナ」
「うん。それは聞いた」
「アラ、ソウナノ。イツノ間ニ」
少し残念そうな声を出すシノは、ちょっとうなだれている。
「ソレデ、セツハ自分ノ作ッタ物ダッタラ、ドコニアッテモ、ソノ場ノ状況ガ見エルノサネ」
「え?」
「ダカラ、オ嬢ガ時計付ケテ行ッタ場所デノ、出来事ナラミンナ知ッテルヨ」
確かに彼は、瑞希にしか知らない事を言い当てていた。
だからといって、そんなことを簡単に信じられる訳が無い。
「本当に?」
「何デ、疑ウノサ?シノノ言ウ事信ジラレナイ?」
先程否定していた、呼び名を自ら使っているの見ると、そんなにこだわってないのかもしれない。
「えっと、信じないって言うか・・・何ていうか・・・」
「ハッキリシナイネ、オ嬢。モウ、イイネ。ソレ置イトイテ、次イクヨ」
「えっ?あっ、そんな」
「ソレデネ、コレカラガ本番ネ」
質問しようとした瑞希の抗議はあっさりと無視された。
シノは歩き回るのには飽きたらしく、今は一ヶ所に留まっている。
カタン
と音がして、そちらへ振り向くとセツイが立っていた。
「いいよ、シノ。問題ない」
「ホント?珍シイネ、時間モ早カッタヨ」
「ああ、今回は簡単に終るな」
「ヨシ、ジャア!出発ネ」
瑞希にはまったく話の内容が理解できない。
聞いてる限りでは、二人はどこかへ出かけるらしい。
この二人、実は客を客とも思っていないのではないだろうか。
ここへ来てから、放って置かれる事が多い。


「いつまで座ってるんだ?」
「え?」
「ソウヨ、オ嬢ガ来ナキャ意味ナイネ」
「私?」
2人だけで、どこかへ行くのかと思っていたら違うらしい。
ボンヤリと座っていると、二人に怒られた。
怒られたというのは少し違う。
口調こそ、怒ってはいないが視線は明らかに彼らの機嫌を表しているのだ。その視線が、少しばかり怖い。
シノはまだいい。鳥だし、怖くはない。
しかし、セツイは怖いものがある。視線もそうだが、なんとなく雰囲気が怖いのだ。関西弁を喋ってるときのセツイはまだ良かった。
話の内容次第でコロコロと表情が変わって、密に可愛いなと思ってしまったくらいだ。
それが、先ほどからまったく違った。表情は全然変わらないし、態度も冷たい。何より、何でこんなにも口調が違うのだろうか?関西弁の時は、楽しそうに喋っていたのに今は、一言二言すらもめんどくさいといった感じの話し方なのだ。こうゆうのを二重人格と言うのかもしれない。
そして、今はそんな事を考えている場合ではない。シノの言い方からすると、メインは瑞希のようだ。
「行くよ」
とセツイに促されるが、瑞希には何が何だかさっぱり分からない。
「ちょっと、待って。行くってどこに行くの?」
「シノ、説明は?」
「マダダヨ。ソンナ早ク、話セナイヨ」
「・・・じゃあ、行きながら話す。とりあえず付いてきて」
「うん。分かった」
瑞希は座っていたソファーから離れると、1人と1羽の元へと向かう。
ドアノブの存在しないドアの向こうには、いったい何があるのか瑞希には想像もつかない。
「あ、そうだ。時計、持ってくの忘れないでね」
「え?時計?あれ?」
言われて思い出すが、瑞希の手元には時計はない。
先ほど、セツイに受け取らなかっただろうか?
しばらく考えるが、自分が時計をどこにやったのか思い出せない。
胸ポケットにブレーザーのポケット、スカートのポケットなど、パンパンと体中を叩いて確認するがそれらしきものはみつからない。
最後に、自分の左手首を右手で握ってみる、当たり前だがそこにも時計はない。
「あれ?私、時計どうしたっけ?」
「何?オ嬢、失クシ物?イッタイ、ドコヘヤッタノサ?」
セツイの肩に乗って、バサバサと翼を広げながらシノが瑞希の言葉に答えてくれる。
瑞希としては、答えが返ってきてくれただけで嬉しかった。しかし、もう一人の反応は案の定冷たい。
「シノ。人の肩の上で羽ばたくな。邪魔くさい」
うっとおしげに顔をしかめて、シノに文句を言うセツイはまるで瑞希の事を気にしていない。
「ゴメンネ。癖ダヨ、癖。ソレヨリ、セツ。オ嬢ノ時計知ラナイノ?」
アタフタとしている瑞希を見ながら、シノがセツイに問いかける。
「何で、僕に聞くんだ。さっき渡しただろう?」
「ソウナノ?」
セツイの言葉を聞き、今度は瑞希に問いかけるシノ。
「はい。そうなんです・・・」
申しわけなくて、答えるのも嫌だった。
「ごめんさない。どこやったか忘れちゃって・・・。」
うつむいて謝ってみるが、効果は得られないらしい。反応が返ってこない。
そのまま、しばらく床と睨めっこする瑞希。
「あのさ・・・」
そこへ、面倒くさそうなセツイの声が聞こえてくる。
話しかけられても、顔を上げないでいる瑞希にセツイが盛大に溜息をこぼす。
「そこにあるのは、なんなわけ?」
呆れながらもセツイはそんな事を言う?
「え?」
訳が分からず顔を上げると、セツイは先ほどまで瑞希が座っていた場所を指差している。
「あ」
「オ嬢、シッカリシテヨ。ソレジャア、セツト変ワラナイボケップリネ」
「誰の話をしてるんだ?シノ?」
「エ?ソレハ、モチロン―」
胸を張って答えようとしたシノがセツイによって叩き落とされる。
「ワッ、セツ!何スルノ!?危ナイヨ!」
バサバサと翼を羽ばたいて、落ちる事を免れたシノは再びセツイの肩へと戻っていった。
そして、その態度から察するにセツイがボケた行動をすることがあるのは事実らしい。

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