気の向くままに徒然と・・・
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プロフィール
HN:
遼 莉杏
性別:
非公開
自己紹介:
自称、「言の葉」使いの物書き。

遼 莉杏と書いてハルカ リアンです。


最近のマイブームは
『薬屋探偵妖綺談』シリーズ
羞恥心

創作仲間・相互リンクしてくれる方を常に募集中。
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「ンデハ、コレヨリ我ガ夢想屋ニツイテ、説明スルヨ」
「はい」
ソファーの上に正座をする訳にはいかなので、瑞希は無理矢理背筋を伸ばす。
これ以上は無理ってところまで。
「ソンナ、改マル必要ナイネ、セツ、オ茶!」
そんな事を言うシノにセツイは一瞬、表情を曇らせる。
「シノ、お茶なんて飲めないだろう?」
「違ウネ、セツ。オ茶ハオ嬢ニネ」
「ああ、そう」
言い終わる頃には、すでに瑞希の前に紅茶が用意されている。
どうぞ。
と小さな声で進めてくる。
「セツ!」
「何だよ」
「クッキーガナイヨ!」
そういえば、いつのまにか消えている。
さきほど、瑞希が席を立つまでは、お皿に並べられたクッキーが存在していた。
いつの間に?
「ごめん」
「何ガ、ゴメンナノ、セツ?」
「いいから、早く仕事。シノ、後でまた焼いてあげるから」
「えっ!あなたが焼いたクッキーだったの?」
「そうだけど」
セツイという人間はどこまでも理解できない。
「オ嬢、コレデ驚イチャイケナイネ。セツ、モット凄イ物作ルヨ」
「シノ、仕事」
「分カッテルヨ。セツ、アンマリ煩イト、オ客様ガ逃ゲルヨ」
「分かってるよ。シノ、あんまり待たせると、そのお客様が帰るよ」
シノの口調を真似てセツイが瑞希へと視線を投げる。
「アア、ソウネ。ソレジャ、始メヨウカ」
漸く仕事をする気になったらしく、シノがセツイの手から机の上へと下りる。
バサァっと翼を広げて体勢を整える。
こうして見ると、意外にシノは大きな鳥だった。
ランプの炎に照らされて、幻想的な姿をしている。
色は、良くわからない。
炎と同じ色だとも言えるが、先ほどセツイの肩に乗っている時は漆黒の翼を持っていたはずだ。



テッテッテッテと机の上を歩き回りながらシノは喋り始める。
「エット、コノ夢想屋ハ、夢想ヲ売ッテルノヨ」
「夢想?」
「ソウダヨ。言葉ノ意味ハ分カルネ?」
コクンと瑞希は頷く。意味なら、先ほどセツイが広辞苑を読み上げたばかりだ。
「ヨシ。話ガ早イネ、ドンドン行クヨ」
テッテッテッテッテ、クルン。
と、机の端に来たら回れ右。
「ダカラ、コノ店ハ客ヲ選ブノサネ。」
セツイのおかしな関西弁も聞き取りづらいが、シノの言葉も聞きにくい。
「選ぶ?」
「ウン。マズハ扉ガ選別スルノネ。ソシテ、オ次ハ品物ガ人ヲ選ブヨ」
「え?」
「要するに、この店に選ばれなければ扉を開く事も出来なければ、欲しいと思うものも見つからないと言う事だ」
シノの説明にセツイが付け足す。
「友達、開けられなかっただろう?」
尋ねられて、思い出してみれば確かに玲は開けなかった。
しかし、あれは。
「ウチノ扉ハ。押シテモ引イテモ、ドウヤッテモ開クヨ。試シテミルトイイネ」
「さすがに、横へ引いても開かないけどな」
「セツ!煩イヨ」
「はい。すみません」
シノに怒られ、セツイは軽く謝ってから席を立つ。
「アレ、セツ。ドコ行クノ?」
「忘れ物取りに」
「何ソレ?」
「いいから、気にせず説明」
そう言い残して、セツイは先程瑞希が入らなかった扉の向こうへと消えていった。
ドアノブがないのでどうするのかと思ったが、扉は触れただけで向こう側へと押し開けられた。
「どこへ行ったの?」
「サア?アレガドコに繋ッガテルカヲ知ッテルノハ、セツダケヨ」
「そうなの?」
「シノハ、知リマセン」
プイとそっぽを向いて、シノは話を終らせる。


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