気の向くままに徒然と・・・
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プロフィール
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遼 莉杏
性別:
非公開
自己紹介:
自称、「言の葉」使いの物書き。

遼 莉杏と書いてハルカ リアンです。


最近のマイブームは
『薬屋探偵妖綺談』シリーズ
羞恥心

創作仲間・相互リンクしてくれる方を常に募集中。
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しばらくすると、2人分の階段を下りる音がする。
「こちらのお嬢さんじゃよ」
翁と共に下りてきたのは、瑞希と同じくらいの身長の高校生くらいの少年だ。
「あっ、あの、こんにちわ」
下りてきた少年と目が合い、瑞希は誤魔化すためにも軽くお辞儀をしながら挨拶をする。

目の前にいるのは、確かに玲の言ったとおり不思議な子だった。
白のワイシャツと黒のパンツ。
ワイシャツは第2ボタンまで開けており、見た目はちょっとダラしない。
腰には、様々な物が入ったエプロンのような物を巻きつけている。
意味があるのか無いのか小さな丸眼鏡は、おとぎ話のお爺さんが良く付けているものに似ていた。
彼のどこが不思議かと言うと、頭の色が不思議なのだ。
確かに、最近ではおかしな自己主張をする若者が、ありとあらゆる色に染めているが、目の前にいる少年の色はあまり見かけない。
少年の髪色は綺麗な銀色をしていた。
染まりそこないのような銀髪は見たことがあるが、ここまで綺麗な色は始めて見る。
何色というのが一番しっくり来るのかは良くわからない。
銀髪だと言われても納得できるし、白髪だと言われても納得できる。
「どうも。」
少年は、瑞希に短く答えるが、そばにいる翁に睨まれ深々とお辞儀をする。
「ようこそ、夢想屋へ」
お辞儀と共に発せられた言葉はとても聞き心地の良い物だった。
声変わりを完全に終えていないらしく、その声は成人男性に比べるとかなり高音だ。
「今日は修理で?」
「はい」
「見せてもらっていい?」
少年に言われ、瑞希は腕時計を外して手渡す。
時計を受け取った少年は、それを見て一瞬表情を変える。
瑞希の見間違いでなければ、それは嫌悪感表すようなものだった。
時計へ向けていた視線を、そばにいる翁へと向ける。
「翁、今日は終わりだ。表にプレート下げといて。」
「はいよ」
翁は軽く返事をすると、入り口へと向かう。
「キミは、こっち。一緒に来て」
少年に促されて、瑞希は先ほど彼等が下りてきた階段を上がる。
少し上がるとそこは広くなっており、部屋へと繋がる。
存在する家具から察するとリビングのようだ。
しかし、少年はそのまだ前へと進む。
今までの階段より急になったものがそこにはあった。
どうやら、屋根裏部屋のようなものがあるらしい。
階段を上りきると、おかしな空間にでる。
確かにそこは、一般的に屋根裏部屋と呼ばれる場所だ。
「あの、テンシくん・・・」
確か翁がそう呼んでいたと思い呼びかけたが、彼は物凄い勢いで振り返った。
「ええか?オレの名前は天使やない?そないな呼び方せんといてもらえる?」
振り返ったのにも、ビックリしたが彼から出た言葉にもビックリした瑞希は、言葉も出ない。
当の少年は、部屋の奥へ行くと、何かを手に持ち戻ってくる。
見ると、それは小さな黒板だ。
「良く見とき」
カッカッカッカ・・・と黒板に字を書く特有の音が響く。
「ほれ」
と言いながら少年は黒板をこちらに見せる。
「天の川の天に、使う。雪の衣と書いて、あまつか、せつい。これがオレの名前や」
黒板に書いた、一文字一文字を指しながら、少年こと雪衣は説明する。
「天使、雪衣?」
「そうや。覚えときぃ」
「大阪の人?」
「あんなぁ、関西弁喋れば誰でも大阪人思うのはよろしくないで。ちなみに、オレは浜ッ子だ」
妙な浜ッ子もいたもんだ。
と瑞希は思ったが声には出さずに違う言葉を口する。
「嘘だ・・・」
ところが、良く考えれば、こっちの方が失礼だと気付いたがもう遅い。
「どうして、そう思う?」
と聞く彼の言葉は少し怒気が含まれるが標準語だ。思い出してみれば、先ほどのセリフも後半部分は標準語だった。
「まぁ。話せば長くなるから、取りあえずそこ、座っとき」



そこ、とセツイが指差しているのは、背の低い机を挟んで置いているソファーだった。
瑞希は入り口に近いほうに座り、改めて部屋の中を見回す。
カチカチカチカチカチ・・・・・
と断続的に音が聞こえるのが気になってしょうがない。
この部屋が妙な空間に見える理由は時計の数にある。
目に見える範囲だけで、7つもあるのだ。
鳩時計に、振り子時計、普通の壁掛け時計に目覚し時計、色々な種類の時計が存在する。
そして、おかしな事にどの時計も指している時間が違うのだ。
12時を指してるものもあれば、3時を指しているものもある、他にも7時半だの6時45分だのまったくバラバラな時間だ。
「落ち着かんやつやな?何キョロキョロしてんねん?」
「えっ?いや、あの・・・」
気付けば、自分は先ほどからまともに喋れていない。
何が原因かと、問われればセツイの見た目と話し言葉のギャップだ。
そのついでに、この部屋の理解に苦しむ時計の数。
「いま、何時なのかなぁと思って」
どうにか口にできた言葉はそれだけだった。
それに対して、セツイの反応は至極簡単のものだった。
あれ。と言いながら瑞希の左手側にある棚を指差す。
そこには、目立たないがもう1つ時計が置いてある。
デジタル時計だ。
「あってるの?」
「あんた、さっきから失礼なやつやなぁ。あれは、電波時計や、翁にもろったんよ」
瑞希の疑問は当然と言えば当然だ。
これだけ、狂った時計がある中で、コレが合ってると言われても、そう簡単には納得できまい。
そして、デジタル時計が示している時間は16時50分。
セツイはというと、何処から持ってきたのか、お茶一式を持って瑞希の前に座る。
お茶一式というのは、紅茶とお菓子だ。
「さて、何から話そう?」
そう言いながら、セツイはしばし考え込む。
「あっ、そうや。関西弁の話やな。生まれも育ちも横浜やけど、関西弁喋る理由はな、小さい頃一緒に住んどったやつに影響されてん」
勝手に喋り始めたセツイは、紅茶を手に取り一旦休む。
「んで、そいつ自身も関西方面をうろついてる内に影響された、言うてな全くでたらめな関西弁やねん。せやから、それに影響受けたオレの関西弁はもっとでたらめ」
確かに、彼の言う通り彼の言葉の発音は変だ。
べつに、瑞希は関西弁に詳しい訳ではないから、何とも言えないが、正直言って聞き取りづらい。
標準語と関西弁が代わる代わるでてくるのだ。
「少し、話すだけなら問題ないんやけど、長く話すとすぐボロがでんねん。だから、翁には店では喋るなと言われてん」
何故だかわからんけど、とセツイは呟いて自分で持ってきたお菓子ー多分手作りのクッキーだーを手に取る。


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