気の向くままに徒然と・・・
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プロフィール
HN:
遼 莉杏
性別:
非公開
自己紹介:
自称、「言の葉」使いの物書き。

遼 莉杏と書いてハルカ リアンです。


最近のマイブームは
『薬屋探偵妖綺談』シリーズ
羞恥心

創作仲間・相互リンクしてくれる方を常に募集中。
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エル女史に連れてこられてから、それほど経たないうちに列車は動き出した。
瞬間、嫌な予感が頭をよぎる。
レインとゼニス王子を残して、走り出してしまったのかと思ったが。
すぐにそれは否定された。
救急箱を持ったゼニス王子が、三両目の方から現れたからだ。
彼は、レインの手当てをして来ると言い置いて、一両目へと行ってしまった。
なぜだか知らないが、他の乗客たちはエル女史によって他の車両へと移されている。彼らは最初こそ文句を言っていたが、相手が誰だか気づくと急に大人しく従い始めていた。
それほど、このエル女史という人は凄いらしい。
「すみません。お待たせしました」
そして、ゼニス王子が十分も経たないうちに戻ってきた。
頭の後ろに手を当てて、ほんの少し頭を下げたゼニス王子は、行きに持っていたはずの救急箱を手にしていなかった。どこに置いてきたんだろうか?
彼は、金髪ではあったが、ブルーではなく茶の瞳を持っていた。確か、国王陛下もあ同じような容姿だったように思う。あまり、確かではないが…。
「いや、構わないよ、ゼニス王子。それより、彼らを帰してしまって良かったのかい?」
「…ああ。問題ありませんよ。命令はは絶対守る連中だ。それに、彼らは帰りも空から。そして私は陸から」
少しの間考えてから、思い当たる連中が見つかったらしく、一旦空へと向けた指を最後に前方方向を指し示しながら、ゼニス王子は答える。
「なるほど」
楽しそうに微笑みながら、エル女史は一人納得する。
「いったい何がどうなってるんですか?エル女史。俺って、このままここにいて良いんですか?」
「オネストか…」
まるで、今思い出したと言わんばかりの呟きは、オレにしか聞こえていないようだった。
やはり、このエル女史という人間は相当変わっている。
「どうする?ゼニス」
「そうだな。貴女はどう思います?」
「私に聞くのか?」
「ええ。参考までに」
「いいんじゃないか?このまま、ここにいれば」
「では、その通りに致しましょう」
「その前に、ゼニス」
「何でしょう?」
「そのふざけた口調を今すぐ直せ」
本気で怒っているらしく、その声はかなり低い。
何の関係もないはずなのに、つい一歩下がってまった。

「ははは、言われると思っていましたよ」
「相変わらず、嫌なやつだな。変わっていない」
「人間、そんなにホイホイ変わりませんよ。エル女史」
「嘘を付け。何だ、あの末弟へ接し方は」
「レイ…アイリスは特別です。…あれは特別ですから」
どこか不自然な言葉に、引っ掛かりを覚えるが、相手は指摘できるような人間ではない。
「それより、貴女の言葉遣いの方が、俺は気になりますが?というより、あきらかに二人の視線がそう言っているんですがね」
そう言いながら、ゼニス王子はオレとオネストを順番に指さす。
「いいだろう。これは癖だ。気にするな。」
エル女史は断言するが、言われた方としては、気にするなといわれる方が気になってしまう。
「癖が許されるのなら、俺のも許していただこう」
「貴様のは癖ではなく、嫌がらせだろうゼニス」
「まあ、そう言うな、エル。これでは一向に話しが進まない。オネストとアシエが待ちくたびれているよ」
二人の名前だけ挙がり、自分の名前は挙がらないのはなぜだろうか?
しかも、当の二人はどこで口をはさんだら良いかが分からないらしく、ただ、黙って聞いている。オネストは、大分話しを理解しているらしいが、アシエにいたってはボー然と喋る二人を眺めるだけだ。
いつか、自分にも話を振ってもらえるだろうと、高を括っていたがそうはいかないらしい。
はい。と控えめに手を上げ自己主張。
「あの、オレはどうしたらいいですか?レインと、もう一度話しが出来ますか?オレ、何でもしますから、もう一度、もう一度レインと話しをさせてください。」
ガバっと頭を下げて、そのまま静止。
本当はもっと、ゆっくり順番に聞くつもりだったのだが。一旦、口を開くと止まらなくなってしまった。
結果、言おうと思っていた事の半分以上が自分の中に残っている。
実をいうと、人に頼み事なんて滅多にしない。頼まれるのは好きだが、頼むのはどうも好きじゃない。頭を下げる自分には、自分でも驚いてしまう。
そして、このような状態にいる自分にもっとビックリだ。
始めて尽くしの今回の旅だったがこんなことになろうとは誰が予想しただろうか。そもそも、列車の中で出会い、友達になった人間が王子様だった時点で、ものすごい事になっている。
初めから言っておいてくれれば、もう少しフォローが出来たのに、あのバカきっと最後まで黙っているつもりだったに違いない。
「二人して同じ様な事を言うんだな」
笑いを噛み殺しながら、ゼニス王子はそう言った。
下げていた頭を思わず上げる。
「短い時間で随分仲良くなったもんだな」
「え?」
ゼニス王子の言葉を理解しそこない、ついつい素が出てしまう。
「構わないよ。レイブン、アイリスは向こうでキミを待ってる。行ってやってくれるかい?」
ゼニス王子は、わざわざオレに視線を合わせてからそう言った。
「はい!」
勢いで、気を付けまでしてオレは返事をする。
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