目の前に現れたのは、ランプを持った銀の髪をした少年だ。
黒のパンツに白のワイシャツ。ボタンが3番目まで開いているので、見た目は少しだらしない。
しかし、全体の雰囲気はどこか冷たい感じのする少年だった。
薄暗い店内で、ランプを持った彼の存在はとても幻想的だ。
「ようこそ、夢想屋へ」
綺麗に微笑み彼は、頭を下げる。
それがまた、彼にはピッタリな動作だ。
「貴女の探し物は見つかりましたか?」
彼は、返事を待たずに次々と言葉を紡いでゆく。
「暇なら、お菓子と紅茶はいかがです?言葉を溜め込むよりも、吐き出してしまった方がずっと楽だ。お話し相手は、もちろん僕が勤めます」
さあ、といいながら、彼は店内中央の階段指し示す。
下手なナンパのような言葉でも、彼が言うとまったくそうは聞こえない。
「何故、貴女はそんなに苦しそうな顔をしてるんですか?」
ジッと目を見つめ彼はそんな事言う。
体の中で、何かが痛みを発しているのは気のせいだ。
少しくらいなら、彼と話してみよう。
もしかしたら、今の気分が変わるかもしれない。
ランプを持った銀の髪の少年の後をゆっくりと着いてゆく。
目の前に広がったのは不思議な空間。
「さあ、どうぞ。貴女の話しを聞かせてください」
―小さなランプに
大きな灯り
闇に負けずに光り輝く
「誰か」のための僕の光り―
END
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