横浜市内の中心部に今年の春、少年は進学に伴ない田舎から出てきた。
最初は、同じ市内に住む従兄の家にやっかいになるつもりだったのだがどうも問題が起こったらしく断られてしまった。
高校の寮は期限切れでアウト。
そんな、もろもろの理由で少年は一人暮らしをしている。
1年近くがたち、学校生活もうまくいっており、一人暮らしも常に金が無いという事意外は全てが上手くいっていた。
世間はもうすぐクリスマスという事もあり、どこか浮ついた雰囲気が漂っていた。
けれど、高校生の少年には期末テストという、今年最後の一大イベントが先に迫っていた。
彼は、事前にこつこつ準備をするタイプだった。
だから、1週間以上も前から勉強も始める。
ちなみに、普段は宿題でも出ない限り、まったく勉強しないのも彼の1面だったりする。
それでも、成績は中の上だ。
まあ、そんな事は置いておこう。
今夜も少年は、夜から勉強をするつもりでいた。
夕食を済ませ、シャワーを浴びてからは、しばらくテレビを見ながら休憩をする。
そして、夜の9時を回った頃に少年はようやく動き始める。
しかし、まだ勉強は始めない。
彼は、まず部屋の片づけから始めるのだ。
まずは散らかった雑誌などをまとめて置いて、次に簡単に勉強机の中を整理する。
少年はこれを勉強する前に毎回こなす。
そんな事をしているうちに、11時半を過ぎてしまっていた。
ふっと、見上げた時計は午後11時40分。