第2話
「めんどい。お前、プリント読み上げろ」
教科書をめくりながら、プリントを見るが僕は数秒で放棄した。
人のものだと言うだけで、やる気はかなり失せるものだ。
「うぃ。えっと、ルネサンス時代には、技術の開発・発明が盛んに行われた。あ~っと、3大技術といわれる・・・・」
中途半端に途切れたのはその部分に「穴」が開いているからだ。
「・・・活版印刷、羅針盤、火薬。お前さ、試験勉強した?」
「え?」
「え?じゃねぇって。してないのかよ?」
本当に不思議そうな声を出す永夜に向かって、やや怒り気味に言うが効果は発せられないだろう。
「何で?」
予想通りの答えに、今度は僕が机に突っ伏す。
「これくらい覚えとけ」
「そう?」
惚けた顔で、惚けた声を出す永夜。僕は怒りを通りこして、呆れてくる。
「そう。この3つは必要最低限覚えておくべき事だ。先生に散々言われただろ?」
「だっけ?」
「大体、この辺のことお前なら詳しそうだけどな」
「だから、産まれる前の事は対象外なの」
「好きそうなネタだと思ったけど?」
「オレ的には、もっと前の方が好き」
「極端だな。てか、我がまま。あ、ついでにもっとスラスラ読め。聞いててイライラしてくる」
「かなた」
「何?」
「お前、注文多すぎ」
「・・・帰るぞ」
ガタっと椅子から立ち上がりかけると、永夜がしがみついて来る。
「うゎ~。ウソです。嘘。頼むから付き合ってクダサイ」
「・・・次」
椅子に座りなおし、教科書をめくる。
「え?あ、はい。えっと・・・16世紀にポーランドの・・・」
「見つかんないから、もうちょい前読んで」
「あい。科学精神は・・・」
「ああ、コペルニクス」
「んで、次が・・・イタリアの・・・」
「ガリレオ」
「うぃ」
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