№2
「じゃあ、お前の中ではあとどれくらいでゼロになるんだ?」
フェンスに戻り、下を眺めながら尋ねる。
下にはまだ、昇降口から出てくる生徒が途切れずに続いていた。
「う~ん。そうだな・・・2時間ってとこ?」
「長いな・・・」
2時間と彼は何でもないように言ったが、それは結構な時間だ。
「そう?」
「ああ。そもそも腹減らないのか?もうとっくにお昼の時間は過ぎたぞ」
「細かいなぁ、かなたは。まだ、2時にもなってないよ?」
腕時計を永夜に見せながら、主張してみるが僕の意見は簡単に流される。
「まだじゃなくて、もうなんだよ」
それに、今から2時間後と言えば4時になってしまう。
確かに最近では日が長くなって来たが、4時なんて立派に夕方だ。
「いや、でもさ帰ってもやる事ないだろだったらいいじゃん」
「俺になくとも、お前にあるだろう?こないだの小テスト何点だった?」
「あ、それは聞かないで。あれは、無かった事に・・・」
「は、ならないだろ」
「大丈夫!本番にはなんとかなる!」
「ならなかった経験の方が多いんじゃないのか?」
「かなた?」
「何?」
「オレの事バカだと思ってる?」
「いや」
何故か、僕の一言を最後に永夜は黙る。
「永夜?」
「かなた!この土日、教科書教えて!」
「日本語がおかしいぞ。教科書教えてって何?」
「あ~っと、テスト範囲とか?」
「お前、それすら知らないのか?」
テストは明後日からだ。2日前にテスト範囲を知らない学生がいてもいいのだろうか?
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