「世の中まだまだ知らない事がたくさんあるって事だな」
「意味が分からない」
「お、風が吹きそうだ。天気が動くかな」
彼がそう言うと、僅かだが風が吹き蒸し暑い空気が少しだけ和らいだ。
「夕方から所により、雷雨だと」
「ふ~ん。ここらは、雨が降るくらいかな」
永夜の天気予報は驚くほど良く当たる。本人が言うには空を見て空気を読めばわかるらしいのだが、それだけで天気予報ができれば、現在の気象庁は用なしとなってしまう。
それでなくとも、この時期の天気予報はまったくと言っていいほどあてにならない。あっても無くても変わらないと僕は思うのだが。しかし、本当に用無しになってしまったらシャレにならないだろう。
「なあ、今年の夏休みはどうする?」
「どうするって?」
「何して遊ぶとか、旅行に行こうとか。ほら、色々」
「金も無いのにどうやって、遊ぶんだよ」
「最近、収入ないからなぁ」
「旅行か・・・たまには行きたいな」
「だろ?依頼探そうかな・・・」
「探して見つかるもんなのか?」
「う~ん。そろそろ七夕だし、何かしらあるんじゃない」
「七夕関係あんのか?」
「だって、ほら一応、恋愛関連のイベント事だし。それに、七夕と言えば」
中途半端に言葉を切り、僕に答えを求めてくる。
何かしら返そうと七夕のイメージを思い浮かべるが、生憎マイナスのイメージしかもっていない。
「晴れたためしがない」
「かなた~。何でお前はそんな事までマイナス思考かな・・・」
そんな風に言いながら、永夜は盛大なため息をつく。
「いいか、かなた。七夕って言っても、ホントは7月7日じゃないんだよ」
「じゃあ、いつなんだよ?」
「よ~く考えてみろよ。7日なんて、大抵梅雨明けしてなくて、曇りもしくは雨の確立の方が断然高い。昔の人たちがそんな条件悪い事考えるか?」
「そういや、そうだな・・・」
「んじゃ、今と昔で変わった事はなんでしょう?」
「・・・なんで、クイズ形式なんだよ」
「まあまあ、折角だから。暇つぶしにね、さあ、かなた。答えはいかに?」
ニヤリと彼は不思議な笑みを浮かべ、僕を見る。何かしら答えなければ先へは進まないらしい。
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