気の向くままに徒然と・・・
| Admin | Write | Comment |
カウンター
New!
~足跡~
[01/12 館主 遼]
[01/12 nameress]
[05/20 館主 遼]
[05/20 蒼月薫]
[04/11 館主 遼]
プロフィール
HN:
遼 莉杏
性別:
非公開
自己紹介:
自称、「言の葉」使いの物書き。

遼 莉杏と書いてハルカ リアンです。


最近のマイブームは
『薬屋探偵妖綺談』シリーズ
羞恥心

創作仲間・相互リンクしてくれる方を常に募集中。
Letter
バーコード
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

№3

昔と今の違いなんて山ほどある。
そもそも、昔と言ってもどれくらい昔と比べればいいのかが分からない。
「ブッブー!はい。時間切れ」
陽気に声を出し、勝手にくれた僕の解答権を、彼は勝手に剥奪する。
「・・・なんか、むかつく」
「ん?何か言った?」
思わず漏れた言葉は彼には聞こえていなかったらしく、不思議そうな顔をして尋ねてくる。
「別に。で、答えは?」
「ああ、暦だよ。」
別にわざわざ言うほどの事でもないので、答えを聞く事で話を逸らした。
暦が違うと言われれば、確かにそうだ。
昔は、月の満ち欠けを参考にしていた太陰暦が使用されていたが、現在では諸外国に習い太陽を参考にした太陽暦が使われている。
「昔は、太陰暦だったろ?旧暦って言われてる、あれね。その旧暦がどれくらい違うか知ってるか?」
「約1ヶ月だろ?」
「アタリ。だいたいだけどね。1ヶ月、現在の暦の方が早くなってる。だから、春分の日とかズレてるんだよな。まだまだ寒いのに、暦の上では春が来ましたとか言っちゃってさ。ってこれオレの個人的な意見ね?だから、正確には知らんよ?」
彼は何故かこの手の知識を豊富に持っている。以前にも正月がどうだとか、バレンタインがどうのとか、昔の人は皆誕生日が一緒(少しニュアンスが異なる)だったとか、本当にどうでもいい事ばかりを知っている。
そして、それを彼なりの解釈を加えて僕に説明するのだ。
「んで、七夕。仙台のほうだっけな?あそこの七夕祭りは8月にやってるだろう?ほら、ニュースとかで毎年必ず出てくる。つまり、ほんとの七夕の日はそれくらいって事。確か、毎年ズレがあって、毎年毎年同じ日じゃないんだよ。24節気の処暑と朔の日を参考にして決まるんだ。まぁ、でも最近じゃ1ヶ月遅れの8月7日とかにやるとこが多いらいいけどね。」
「永夜、質問」
「ん?」
「何でお前そんな事知ってんの?」
「ん~、趣味?」
「趣味?」
「おうよ、時間はたっぷりあったし、ちょっと知るよりは全部、てか全体を知りたくなるもんだろ?なんなら、七夕伝説も語ろうか?」
「いや、いい。遠慮しとくよ」
「へぇ~。じゃあ、かなたは七夕伝説ちゃんと分かってんの?乞巧奠との違いとか織姫と称される星はどれとか、その他色々」
「いや。別にそこまで知りたくないし・・・」
どうやら、彼は「七夕とは」を全てを語りたいらしい。正直な話し僕にはそこまで興味を持てるような事には思えない。
しかし、彼が話すと決めたのなら、 僕には拒否権が存在しない。



織姫と牽牛の七夕伝説は有名だ。
多少の覚え間違い、勘違いを抜きにすれば大抵の人間が物語の同じ内容を語ることが出来るだろう。
しかし、彼が語ると大分それが異なる。
内容は変わらない、けれど語り方がすごいのだ。
「天帝の娘織姫は・・・」
まずは普通の七夕伝説が始まり、そこからどんどん話しが広がってゆく。
「だから、夏の第三角形は彦星であるワシ座のアルタイルと織姫である琴座のベガ。それに、白鳥座のデネブからなってそれが・・・」
話しはどこまで広がるのだろうか?
ボンヤリと曇った空を眺めながら永夜の話しを聞き流す。
地上へと視線を移すと、生徒は誰一人として歩いてはいなかった。
「もうそろそろ・・・いいと思うんだけどな・・・・」
そんな言葉は当然、熱く語っている永夜の耳には届かない。
「んで、その鷲はゼウスの使いと言われていて・・・」
当然のように語られている内容は、何故か七夕伝説から神話へと話しが移っている。
国どころか大陸、いや世界が違う。
造物主の天帝と全能の神ゼウスとはどちらが偉いだろうか?
「ってかなた、聞いてる?」
「ああ。安心しろ、ちゃんと聞いてる。江戸時代以降、民間に広まったんだろう」
我ながら、良く聞いていると思う。
どうでもいいことを考えていても、相手の話をある程度把握するのは必要なことだ。特に永夜の場合は一々話を聞いているかどうか確認してくる面がある。
そんな事を考えるながら、再び永夜の話しに耳を傾ける。
ちなみに、日本に来たのは奈良時代だそうだ。
その頃と現在の形とでは大分変わっているらしい。
昔は裁縫の上達などを願って行われていたが、現在では願い事なら何でもアリになっている。
そう考えると、当時の人間の解釈の仕方は結構すごい。
「んじゃあ、かなた。最終問題です」
七夕伝説を語り終えたらしく、いきなりテンションが上がる永夜に対し、僕のテンションは更に下がる。
「何?」
「7月7日は七夕以外に何の日でしょう?」
嬉々として、右手人差し指を立てて首を傾げてみるせる永夜は、幼くて見えて少し可笑しい。

PR
この記事にコメントする
NAME:
TITLE:
MAIL:
URL:
COMMENT:
PASS: Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
≪ Back  │HOME│  Next ≫

[143] [138] [137] [126] [119] [118] [117] [116] [111] [110] [106]
忍者ブログ [PR]
material by:=ポカポカ色=