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遼 莉杏
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自己紹介:
自称、「言の葉」使いの物書き。

遼 莉杏と書いてハルカ リアンです。


最近のマイブームは
『薬屋探偵妖綺談』シリーズ
羞恥心

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№1

最近では、土曜日には学校がないらしい。
最初はそんな話題から始まった。僕たちのくだらない会話。
「なあ、なんでウチの学校は土曜もあるんだ?」
「さあな、そんな事聞くな。そもそも、土曜って言っても第1と第3土曜だけだろう?」
「まあね。でもさ、遊んでるやつ見るとなんかムカツク」
「だったら、公立行け。今からでも遅くは無いぞ」
「かなた。ひどい・・・」
今日は7月1日。
高校に入ってから、初めての夏休みが間近に迫ってきたが、同時に初めての期末試験も間近に迫ってきている。
7月の初めの土曜日は、雨が降りそうで降らない、どんよりとした空が空気を変に重くする。
ぼんやりと、相手の話を聞きながらそんな詩的な事を思ってしまうのも、天気のせいかもしれない。
「でもさ、いい事もあるよな?」
「何が?」
少しの間を空け、嬉々として彼は話を再開させる。
「この、午前授業のワクワク感を今の連中は知らないって事」
「ワクワクするか?」
「おう。少なくとも、休みの日の土曜よりは有効活用できてるし」
「お前、なんか矛盾してない?」
「そうかな?でも、公立連中はこの午前授業を知らないのは確かだろう?」
「まあ。中学も小学校も土曜は休みだからな。でも、高校の私立でも今どき土曜は珍しいって聞いた」
「う~ん。さすが歴史ある学校」
テスト前だという事で遊びにいく訳にもいかず、かといって家に真っすぐ帰って勉強する気も起きない、そんな放課後。
屋上に上がり、帰り行く生徒達を眺めながら、のんびりと会話を交わしていた。
蒸し暑い中、選んだ場所を間違えたかもしれないと気づくのはもう少し後になる。


「なんだっけ?最近はやりの何とか教育?」
「ゆとり」
「そうそう、それ」
「が、何?」
土曜の学校という話しから、少しずれ教育問題まで語り始めようとする永夜は、フェンスに寄りかかり、空を仰ぐ。
「何でそんなことしたんだろうと思って」
「何でって?」
「う~ん、何か間違ってると思わない?」
「俺は、お前がこの話題を出した事を間違いだと思うけど?」
永夜と同じようにフェンスに寄りかかり、空ではなく彼の横顔に問いかける。
「冷たいなぁ。かなたは、もう少し相手をフォローしようとか思わないの?」
「お前を一々フォローしてたらキリが無い」
「う~ん・・・」
「今更だろう?何年こんな事やってると思ってるんだ」
「そりゃぁそうだ。しっかし、蒸し暑いなぁ、これじゃあ、帰る気しないよ。早く気温下がってくれないかね」
「まさか、お前夕方までここにいるつもりじゃないよな?」
「ん?そのまさかだけど?」
「俺、先帰るから。どうぞ、ごゆっくり」
フェンスから離れ、出入り口に向かって歩き出す。
確か、天気予報では夕方から雨だと言っていた。
「わぁ~、ちょっと待った!かなた!置いてくな、分かった。せめて、生徒が0になるまで・・・」
あと、数歩でドアに手が届くであろう場所で僕は立ち止まる。
振り返って、彼を睨む。
「ゼロって・・・お前。いつになるんだよそれは・・・」
「いや、何も完璧にゼロじゃないぞ?オレがゼロだと判断したら、ゼロになるんだよ」
「何でお前は、そんな適当なんだ」
「今更だろ?そんなの。何年こんな事やってると思ってるんだよ」
永夜は、先ほどの僕の台詞を真似てニッカリと笑顔を浮かべる。

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