気の向くままに徒然と・・・
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プロフィール
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遼 莉杏
性別:
非公開
自己紹介:
自称、「言の葉」使いの物書き。

遼 莉杏と書いてハルカ リアンです。


最近のマイブームは
『薬屋探偵妖綺談』シリーズ
羞恥心

創作仲間・相互リンクしてくれる方を常に募集中。
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第2話

「めんどい。お前、プリント読み上げろ」
教科書をめくりながら、プリントを見るが僕は数秒で放棄した。
人のものだと言うだけで、やる気はかなり失せるものだ。
「うぃ。えっと、ルネサンス時代には、技術の開発・発明が盛んに行われた。あ~っと、3大技術といわれる・・・・」
中途半端に途切れたのはその部分に「穴」が開いているからだ。
「・・・活版印刷、羅針盤、火薬。お前さ、試験勉強した?」
「え?」
「え?じゃねぇって。してないのかよ?」
本当に不思議そうな声を出す永夜に向かって、やや怒り気味に言うが効果は発せられないだろう。
「何で?」
予想通りの答えに、今度は僕が机に突っ伏す。
「これくらい覚えとけ」
「そう?」
惚けた顔で、惚けた声を出す永夜。僕は怒りを通りこして、呆れてくる。
「そう。この3つは必要最低限覚えておくべき事だ。先生に散々言われただろ?」
「だっけ?」
「大体、この辺のことお前なら詳しそうだけどな」
「だから、産まれる前の事は対象外なの」
「好きそうなネタだと思ったけど?」
「オレ的には、もっと前の方が好き」
「極端だな。てか、我がまま。あ、ついでにもっとスラスラ読め。聞いててイライラしてくる」
「かなた」
「何?」
「お前、注文多すぎ」
「・・・帰るぞ」
ガタっと椅子から立ち上がりかけると、永夜がしがみついて来る。
「うゎ~。ウソです。嘘。頼むから付き合ってクダサイ」
「・・・次」
椅子に座りなおし、教科書をめくる。
「え?あ、はい。えっと・・・16世紀にポーランドの・・・」
「見つかんないから、もうちょい前読んで」
「あい。科学精神は・・・」
「ああ、コペルニクス」
「んで、次が・・・イタリアの・・・」
「ガリレオ」
「うぃ」


「ラスト10問」
「やっとか・・」
ここまで、無駄口を叩かずに黙々とやってきた。
最初は喋りながらやっていた。しかし、このままでは今日中に帰れないかもしれないということが、お互いの頭によぎったのだ。
そんな事を考えてから1時間ちょい、ついにラスト10問までこぎつけた。
「お世話になりました」
「そういう事は終わってから言え」
「はい」
「次は?」
「えっと・・・・・イギリスでは17世紀にピューリタン革命と・・・」
「名誉革命」
「2回の革命を合せて・・・」


「終わった~」
「はい。オツカレさん」
バンザイしながら喜ぶ彼を軽く睨みつけると、タイミング良くしっかりと目があった。
「アリガトウゴザイマシタ」
何故か片言でお礼を言われ、僕は思わず笑いそうになり、それをこらえながら返事をする。
「ん。どういたしまして。さ、帰りますか」
「イエッサー。仕度するので待って」
永夜を待つのに、時間を潰す為に窓辺に近づく。
外を見ると、日はすっかり落ちて黄色い満月がポッカリと浮いている。
「あ、永夜。ちょっと待った。今日、満月だ」
「あ~。十五夜だろ?」
「知ってたのか?」
「もちろん」
「全然気にしてなかった」
天気予報は気にするが、その日の空はあまり気にしていなかった。
時々、ふとした瞬間に見上げた空があまりにも綺麗で驚くが、彼の場合は毎日その空を気にしているのだろう。
「空を見るのは、暦を知るのと同じ事だかんね。つまり、カレンダー見るのと一緒」
「じゃあ、お前約1ヶ月他とズレてるって事になるな」
「やだな。オレ、別に月だけ見て生きてないよ。色々ひっくるめて見るんだって」
「陰陽師だな」
「一応そのつもりだけど?」
真面目な顔して彼はそう返す。
冗談に聞こえないから恐ろしい。
「訳わかんないこと言ってないで、さっさと仕度しろ。先帰るぞ」
「え、ちょっと。かなた。今まで待っててくれたんだから、最後まで待ってようよ」
「じゃあ、口じゃなくて、手動かせ」
彼の手元に視線をおくる。先ほどから鞄のチャックを開けたり閉めたりしているだけで、机の上はまったく片付いていない。

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