気の向くままに徒然と・・・
| Admin | Write | Comment |
カウンター
New!
~足跡~
[01/12 館主 遼]
[01/12 nameress]
[05/20 館主 遼]
[05/20 蒼月薫]
[04/11 館主 遼]
プロフィール
HN:
遼 莉杏
性別:
非公開
自己紹介:
自称、「言の葉」使いの物書き。

遼 莉杏と書いてハルカ リアンです。


最近のマイブームは
『薬屋探偵妖綺談』シリーズ
羞恥心

創作仲間・相互リンクしてくれる方を常に募集中。
Letter
バーコード
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

第4話

永夜が団子について悩み始めてしまったので僕は、一つ気になる事を尋ねてみる。
「ススキ飾る理由は?」
考えながら、地面を睨みつけていた永夜が僕の声を聞き、視線を上げる。
「ああ、元々十五夜が稲の豊作を祈るものだったらしくて、ススキはそれが変化したものらしいよ」
「なるほど」
「もう一個、面白い事おしえてやろうか?オレはコレ聞いて驚いたね。てか、意外にみんな適当だと思ったよ」
僕の言葉を聞いた彼は機嫌を戻したらしく、再び嬉々として語り始めた。
「何?」
「十五夜、中秋の名月なんて言ってるけど、実は満月じゃない日が殆どなんだと」
「・・・?」
意味を上手く理解できずに頭の中に疑問符が浮かぶ。
十五夜=満月=月見だと今まで思っていたのに、それら全てを否定された訳だ。
「月と地球の・・・ん?なんだっけ?えっと、ホラ、あれ・・・あの、だ~っと」
スラスラと説明していた永夜が急に日本語らしからぬ言葉を口にし始める。
それと同時に歩みをも止めてしまう。
「何?」
「うん。ほら、あれだよ、あれ」
「どれ?」
彼の言う事はイマイチ予測できない。
「えっと、だから、ほら月と地球が・・・回って・・る関係?」
「・・・・。回ってる?あ、公転」
パン!!
永夜が思い切り良く手を叩く。
「そう!それ!!月と地球の公転軌道の関係で、新月から満月までの日数が15日とは限らない。だからズレが生じる。ちなみに今年は2日あとが満月だそうな」
「何か、ショックだな。騙されてた気分だ」
「だろ~?」
カサの回る速度が突如速くなった。両手で器用に回している。
「ちなみに、オレ的一押し豆知識はその名前」
「名前?」
「そ。さっきも言ったろう?」
「十五夜の別名?」
「イェ」
聞き取りにくいが、あきらかに日本語ではない肯定。
「例えば、さっきの続きで。待宵(まちよい)とか。天満月(あまみつつき)、月の鏡。こうこうと照らす月明かりは月光、月華、月明、月気、月の顔。んで、眺めがいい夜を惜しむって意味で、可惜夜(あたらよ)って言ったり」
「そんなに羅列されても、覚え切れないし、訳わかんないんだけど」
「いや、なんつーか。オレとしては、日本語の良さをご理解頂ければ嬉しいな・・・っと」
「お前、どこの誰なんだよ」
「ですから、オレは陰陽師」
「まだ、引きずるかそのネタ」


「やっぱいいね。日本!」
「意味が分からない」
「オレの選択は間違ってなかったわけだ」
「ソウデスカ」
彼との「会話」について行くのは難しい。
「そうですとも、我が愛すべき古き良き時代を受けつぐ日本だ」
「何が言いたい」
「いや、もう良くわかんない」
「お前な・・・」
なら、どうして歴史ができない?という言葉がでかかるが、彼の言葉によって音にはならない。
「ははは。いや~、考えないで喋ると収拾がつかなくなるね」
「お前、考えて喋ってた事あるのか?!」
「うぇ!?何、その本気で驚いた的な反応」
「オレだって、考えて喋る時もあるぞ」
「じゃあ、考えて行動した事は?」
「あぁ・・・っと、そりゃ無いな」
ちょっと、自信なさげにしかし誇りを持って彼は答えた。
「無いな。じゃないよ・・・」
「ん~。結果、今があるんだから。問題ないっしょ」
楽しそうに喋る彼と一緒にカサも楽しそうに回っている。左クルン、右にクルンと交互に回る。
「そいや、かなた。お前は月に何がいると思う?」
いつの間にか真横に来た月を指差し永夜が聞いてくる。
「月?うさぎじゃないのか?」
もう十五夜ネタは終わったかと思ったが、そうではなかったらしい。
「それは一般的な話し」
「そもそも、俺はそのうさぎすらわかんないけどな」
「あら、そうなん?ちなみに、うさぎな理由としては、古くからうさぎは月よりの使者って言って親しまれた。んで、月を呼ぶ、ツキ・運を招く、月うさぎって感じに・・・」
「へぇ~。上手いこと考えたな。で、お前は月に何が見えるんだ?」
「へ?」
「人に聞いたからには、お前には「何か」がみるんだろ?」
「う~ん・・・。内緒」
「は?」
「だから、内緒」
僕の反応に彼はもう一度同じ言葉を繰り返す。その言い方に何故だか腹が立つ。
「殴っていいか?」
「あら、やだ。怖い事言わないのかなたちゃん」
「人に聞いておいて。それはないだろ?」
「結局、お前も言って無いんだから、お相子だ」
「・・・・」
「はい。怒らない、怒らない。ほぉら、スーパーは目の前だ」
陽気に言って彼はまた僕の数歩前を歩き出す。スーパーを目指して・・・。


end.
PR
この記事にコメントする
NAME:
TITLE:
MAIL:
URL:
COMMENT:
PASS: Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
≪ Back  │HOME│  Next ≫

[184] [181] [180] [107] [178] [175] [174] [173] [172] [171] [168]
忍者ブログ [PR]
material by:=ポカポカ色=