№2
流れる景色をボンヤリと眺めながら、今日の夕食について考える。
視線を下へずらすとカボチャを抱えた永夜が目に入った。その横に座った女子高生の視線は、カボチャに釘付けだ。
「なぁに、ボーっとつっ立ってんだよ?」
「考えてんだよ」
つり革に軽くぶら下がり、彼を見下ろす。
「何を?」
「夕飯」
そんな発言を耳にした女子高生の視線が動く、慌てて逸らしたが遅い。彼女とばっちり目があった。何故か彼女は笑いを堪えている。
「かぼちゃ料理?」
「そう」
気まずさを隠しつつ、短く永夜に返事をしながら窓の外へと視線を移す。
「煮物がいいな」
「それ1個分か?」
「いや、そんなにはいらいない」
「だろうな」
横に座った女子高生が急に動きを見せる。ポケットから出てきたのはケイタイ電話。気のせいかその表情は笑いを堪えるのに必死だ。
「帰ったら検索しよう」
「カボチャ料理を?」
「そう。カボチャ料理を。だって、煮物だけは飽きるだろ?」
「スープにソテー、プディングもできるな・・・」
彼の言葉を聞き、先ほど考え付いた事を口にする。
「何、調べる必要ないの?」
「ある程度は知ってる」
「へぇ、さっすがだねぇ。さすがは趣味が料理と言うだけはあるね」
「お前が知らな過ぎなんだよ・・・。料理が趣味だとは言った覚えはないぞ」
「ん?そうか?じゃ、ご趣味は?」
「お見合いか?」
と、ここで横から笑い声が聞こえてくる。とうとう、堪える事が出来なくなったらしい。
クスクスと止まらないらしい。
「もうダメ。無理。何なのキミ達」
「え?オレら?」
笑いを抑えながら、彼女は喋る。それに対して永夜は本気で疑問符を飛ばしている。
空気の動かない僕らを他所に、電車は降りる駅へと到着した。
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