気の向くままに徒然と・・・
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プロフィール
HN:
遼 莉杏
性別:
非公開
自己紹介:
自称、「言の葉」使いの物書き。

遼 莉杏と書いてハルカ リアンです。


最近のマイブームは
『薬屋探偵妖綺談』シリーズ
羞恥心

創作仲間・相互リンクしてくれる方を常に募集中。
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・*・。*『Family Night』・*。・*

「ママ!サンタさんは絶対にいるよね!!」
学校から帰ってきた息子の開口一番の言葉がそれだった。
終業式ということもあり、学校は早く終わる。
「どうしたの?」
「だって・・・」
「分かった、コウくん達とケンカしてきたんでしょ?」
俯いたまま返事をする様子はない。
お昼の天気予報から視線を子どもへ移す。
ちなみに、天気は今夜から崩れて雪になるらしい。人生初のホワイトクリスマスだ。
「由飛(ユウト)?」
「だって、アイツらサンタさんなんかいないって言うんだ。いるよね?ねぇ?」
まさか、サンタの存在を問われるのとは思っていなかった。
自分が子どもの頃は、物心ついたころからサンタは空想上の登場人物で物語を読んで楽しむものだと思っていたから、存在を信じている子どもに対してなんて言えばいいのか分からない。
こうゆう時に役に立つ、もの書きの旦那は今は出版社へ呼ばれていて夕方までは帰ってこない。
そもそも、小学校4年生になってまで、サンタの「いる」「いない」を言い争うレベルでいいのだろうか?
「だって、ぼくテレビで見たんだ!アイルランドにいるんだよ?手紙を出すと返事をくれるんだって!」
「・・・・・・・・そうね。いるわね確かに」
「でしょう?」
どうやら、まるでレベルが違うらしい。そっちのサンタの話しだったとは。
これはこれで、旦那と相談しなければならない。
「ねぇ?今日、パパはいつ帰ってくるの?ケーキ買ってきてくれるかな?ジジとババ、今年は来ないの?」
「パパは夕ご飯食べる頃にケーキ買って帰ってくるって言ってよ。ジジとババ、今年は来れないって。お正月になったら会いにいこうね」
確か、そのババからプレゼントが届いていた。
「ホント?じゃあ、ぼくランドセル置いてくる!」
彼の中でなにがどう繋がっているのか時々分からない。
思考回路は私ではなく旦那に似てしまったらしい。

クリスマスらしいクリスマスを過ごすのが夢だった。
子どもがいない頃は旦那と二人、レストランで食事をしていたが、由飛が生まれてからは、家で小さなパーティーを開いている。
今年のメニューはシーザーサラダにミネストローネ・サーモンのマリネ・ローストチキン。
旦那のリクエストでこれに白いご飯が添えられる。
買ってきたパスタは明日のお昼ご飯だ。メニューは洋風だが、3人揃って手を合わせてから食事をスタートさせる。これはもう、習慣の1つだ。やらなければ気がすまない。
「ゆう、今日はベッドに靴下下げとけよ?」
「え~何で?パパ、サンタなんか信じてるの?」
「サンタを信じているんじゃなくて、パパがサンタになりたいんだ」
「なにそれ~」
きゃっきゃと笑いながら、由飛が旦那をバカにする。
親がこんなだから、子どもが現実主義になるのか。
机に並んだ皿から、料理が綺麗に消えると次は、本日メインのものとなる。
「さあ、早くケーキを食べよう。今日はすごいの買って来たんだ。なんと、3週間以上も前から予約してたんだぞ?由香、電気消そう、電気」
自ら立ち上がり、冷蔵庫に行った帰りに照明のリモコンを持って帰ってくる。何故か頭にはサンタの帽子が乗っていた。
「パパ!ぼくが火消す!」
「待て、ゆうと。今日は消しちゃダメなんだ」
彼の手からライターと一緒にサンタとトナカイの形をしたキャンドルが出てきた。
「あら、かわいい。どこで買ってきたの?こんなもの」
「ケーキ屋でくれたんだ」
「へぇ~」
「パパ早く開けて!ケーキ!ケーキ!!」
「ほぉら!!」
「すごぉい!!ママこれ、お店で見たやつ!」
箱の中から出てきたのはブッシュドノエル。
食べるのがもったいほど綺麗なものだ。細かい装飾にまでこだわりを感じる。
全てのキャンドルに火がついたのを確認してから、部屋の灯りを消した。
ワイングラスの中身はオレンジジュース。
家族3人でグラスを合わせる。

「メリークリスマス!」



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