気の向くままに徒然と・・・
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[04/11 館主 遼]
プロフィール
HN:
遼 莉杏
性別:
非公開
自己紹介:
自称、「言の葉」使いの物書き。

遼 莉杏と書いてハルカ リアンです。


最近のマイブームは
『薬屋探偵妖綺談』シリーズ
羞恥心

創作仲間・相互リンクしてくれる方を常に募集中。
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№4

「話を戻そう。ケルトの祭りはそもそもどういったものなんだ?サヴァンの祭りだっけ・・・?」
脱線しかけた話を戻すのはいつも僕の役目だ。放っておくとどこまでも違う話に進んでしまう。
しかも喋っているのは彼1人だからすごい。
「あ~っと。彼らにとってその日は、物事が移り変わる時で、時間と空間が一時的に曖昧な状態になり、霊界とこの世とが交差する時だって言われてた。だから、彼らはそれを…それから身を守るために祭りを開いた。また、夜は死者や霊魂をなだめる時でもある。ちょーっと矛盾してるけど、それがケルト・サヴァンの祭り。まあ、これはオレの勝手な解釈だから、全部が全部正しい情報じゃないから、あしからず」
関心しながら聞いてると、意外な言葉で締めくくられる。
「最後の最後で逃げるのかよ」
皮肉ってみるが、彼は肩をすくめるだけで反論はしてこない。
「しょうがないだろ、それだけケルトは不思議で神秘的な存在なの。ちなみに、ケルトはアーサー王伝説・円卓の騎士、バンシーなんかも深い関わりがある」
かわりに、新たな話題へと話を摩り替えていく。
「悪いけど、まったくついていけない。アーサー王の円卓の騎士はわかるけどバンシーって?」
「バンシーは妖怪・・・妖精って言った方がいいかな?の名前」
「妖精?」
「そ。人の死を、川で洗濯しながら嘆き悲しんで予告するの」
「洗濯?」
「うん。世間的にはね」
「世間的には?」
「ホントは死を予告する異界の女。アイルランド語のバン「女性」にシー「妖精の丘」の複合語で「異界の女」って訳。その異界の女って中にバンニーっていう洗濯しながら死を嘆くのがいるんだ」
「どうにも、「洗濯」っていう単語が気になってしょうがないだけど」
「何?何で?」
そもそも川で洗濯と言われた時点でイメージは違うものになっている。
頭の中にあるのは桃太郎の一場面だ。
「ん~。こう考えれば良いんで無い?洗濯っても服じゃなくて鎧。血まみれな鎧を泣きながら洗ってる。それを見た人間には身内に不幸が起こるかもしれない・・・的な?」
「怖っ・・・・」
想像すると本当に怖い。真夜中の川で着物を着たおばあさんが血まみれの鎧をただひたすらに洗う。しかし、ここまで考えて切り替える。
確かこれはヨーローッパの話だ。
着物のおばあさんをエプロンドレスの若い女に置き換える。鎧も日本的なものから洋風なものへ。なるほど、妖精だ。
「なんか、本日ピッタリな話題だ」
「何か違う気がするけどな」
「おっし、じゃ折角だから、世界各国あらゆる地域の妖怪及び妖精伝説をお話しましょうか?」
「好きにしろ」
「あい。リクエスト承り~」
手首をくるりと回して敬礼してみせる姿はどうみても楽しんでいる。
「夕飯、明日になるかもな・・・」
「え?何で?作ってくれないの?」
「だって、材料が一向にそろわない。一番メインの品が・・・」
彼の手元に視線を向けて、途中で言葉を止める。
僕の視線を追った永夜は、納得しながらカボチャを眺める。
「あ~。なるほどね。確かに、先はまだまだありそうだ」
彼には言葉の真意は伝わらない。
「ま、いいじゃん。夜はまだまだこれからだ。秋の夜長はゆるりと楽しむもんだろう?」

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