気の向くままに徒然と・・・
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プロフィール
HN:
遼 莉杏
性別:
非公開
自己紹介:
自称、「言の葉」使いの物書き。

遼 莉杏と書いてハルカ リアンです。


最近のマイブームは
『薬屋探偵妖綺談』シリーズ
羞恥心

創作仲間・相互リンクしてくれる方を常に募集中。
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№2


流れる景色をボンヤリと眺めながら、今日の夕食について考える。
視線を下へずらすとカボチャを抱えた永夜が目に入った。その横に座った女子高生の視線は、カボチャに釘付けだ。
「なぁに、ボーっとつっ立ってんだよ?」
「考えてんだよ」
つり革に軽くぶら下がり、彼を見下ろす。
「何を?」
「夕飯」
そんな発言を耳にした女子高生の視線が動く、慌てて逸らしたが遅い。彼女とばっちり目があった。何故か彼女は笑いを堪えている。
「かぼちゃ料理?」
「そう」
気まずさを隠しつつ、短く永夜に返事をしながら窓の外へと視線を移す。
「煮物がいいな」
「それ1個分か?」
「いや、そんなにはいらいない」
「だろうな」
横に座った女子高生が急に動きを見せる。ポケットから出てきたのはケイタイ電話。気のせいかその表情は笑いを堪えるのに必死だ。
「帰ったら検索しよう」
「カボチャ料理を?」
「そう。カボチャ料理を。だって、煮物だけは飽きるだろ?」
「スープにソテー、プディングもできるな・・・」
彼の言葉を聞き、先ほど考え付いた事を口にする。
「何、調べる必要ないの?」
「ある程度は知ってる」
「へぇ、さっすがだねぇ。さすがは趣味が料理と言うだけはあるね」
「お前が知らな過ぎなんだよ・・・。料理が趣味だとは言った覚えはないぞ」
「ん?そうか?じゃ、ご趣味は?」
「お見合いか?」
と、ここで横から笑い声が聞こえてくる。とうとう、堪える事が出来なくなったらしい。
クスクスと止まらないらしい。
「もうダメ。無理。何なのキミ達」
「え?オレら?」
笑いを抑えながら、彼女は喋る。それに対して永夜は本気で疑問符を飛ばしている。
空気の動かない僕らを他所に、電車は降りる駅へと到着した。


漸く家に辿り着いた頃にはすっかり日は落ち、部屋の中は闇と化していた。
「なんで爆笑してたんだ?あの女。失礼なやつだな」
玄関の扉を押さえる僕に彼はそんな事を言い始める。
「何?まだ言ってんのか?」
「だって、オレには理解できん」
「一生、言ってろ」
素っ頓狂な永夜の声を聞き、彼女は余計に笑いを堪える事が出来なくなり、僕らが降りるまで笑い続けていた。それが、彼はとっても不満らしい。
部屋の明かりを点け、窓を開ける。少し寒いが、空気の入れ替えをしなきゃ気がすまない。
「かなた!新聞紙無かったっけ?」
「・・・彫るなら外でやれ」
「え~!何で?寒いじゃん、暗いじゃん、寂しいじゃん」
「うるさい。部屋が汚れるだろ?」
「いや、だから新聞紙を」
「新聞なんて取ってないだろ」
「あ、そうだっけ?じゃ、キッチンでやる。それなら文句ないだろ?」
これ以上は無意味だと判断し、適当なところで折れる事にする。彼がどこで何をしようと僕には関係ない。
「片付けは自分でやれよ?」
「りょーかい」
カボチャとの戦いを始める彼を横目に僕は冷蔵庫を物色する。
買い物してくれば良かったな・・・。
「なぁ、カボチャ以外に何食う?」
「え?何?他に何か作ってくれんの?」
「当たり前だろ。何より、俺が納得いかない、カボチャだけの夕飯なんて」
「そらそうか。うん。折角、前夜祭なんだから豪華に行こう!」
「前夜祭?何の?」
「サヴァンの祭りの」
「は?」
「明日は、11月1日冬の始まりを祝うサヴァンの祭りなの。で、今日はそれの前夜祭」
「どこの、何の祭りだよ」
「ケルトの古い祭り」
「ケルト?」
聞いた事ある気がするが、なんなのかまったく分からない。そもそも、サヴァンという言葉は初めて耳にする言葉だ。
「うん。ケルト人。知らない?オレのご先祖様なんだけど」
「それは信じていい情報か?」
「いや、先祖かどうかはオレも知らない。でも完全に否定は出来ないよ」

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