気の向くままに徒然と・・・
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プロフィール
HN:
遼 莉杏
性別:
非公開
自己紹介:
自称、「言の葉」使いの物書き。

遼 莉杏と書いてハルカ リアンです。


最近のマイブームは
『薬屋探偵妖綺談』シリーズ
羞恥心

創作仲間・相互リンクしてくれる方を常に募集中。
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№1

「で、何でこんなところへ?」
「だって、今どきそのまんまで、でかいかぼちゃは八百屋に来なきゃないだろう?」
「だからって、何で電車乗り継いで?」
「電話して聞いたら、ここにあるって」
2つほど電車を乗り継いで、やって来た駅は小さな駅だった。
駅前ロータリーは程よく寂れており、目の前にある道は大通り・住宅街に続く道・どこへ続くのかわからない細い道、そして、あまり上りたくない急な坂道が1本あった。
「電話?番号はどっから?」
「黄色くて分厚い本で、片っ端から」
大通りを少し行くとそこは良い感じに寂れた商店街だった。
やたらと目に入るのは、黒やオレンジ紫といった色をベースに愉快な絵が描かれたポスターだ。
「で、かぼちゃなんか何に使うんだ?お前、料理なんてできないだろう?」
「オレが欲しいのは、中身じゃなくて外っかわ。中身はお前にくれてやる」
「俺に中身をどうしろと?」
「その辺はお前にまかせる。っと、スミマセーン!電話した天崎ですけどー!」
商店街の真ん中に位置する八百屋は、絵に描いた様な八百屋だった。
「ッい!っらっしゃい!電話?天崎さん??ちょっと、待ってね?ッい!母ちゃん!」
八百屋の主人もまるで、用意された人のように八百屋にぴったりはまっている。
ちなみに、最初は「はッい!」と後は「おッい!」となる。
ちょっとした音の違いだが、客用と身内用で意味が異なるようだ。
永夜が興味津々といった感じに並んでるもの―というより店の作り―を眺めている。
僕はそんな彼を眺めながら、どうでもいいことを考え巡らせている。
「はいはい。かぼちゃのアマサキさんね。あんた、裏のかぼちゃだよ?早く持ってきてあげな」
「ああ、あの?へぇ~めずらしいね。あんなでかいの何に使うの?」
「へっへ~、ちょっとね。それよりさ、おじさんあの坂の上って何があるの?」
「坂の上?」
「住宅街だよ。綺麗でオシャレな家がいっぱいのね」
聞かれたおじさんではなく、おばさんが少し嫌味っぽく答えた。おじさんは、そんな彼女を横目に店の奥へと消えていく。
「なぁんだ。何か面白いもんあれば行ってみようと思ったのにな」
「行くなら一人で行けよ」
「だから、行かないって」
「どうだか」
「おばさん、かぼちゃいくら?」


「やっぱ、お前バカだろ?」
「オレだってここまででかいなんて聞いてないッ」
永夜は、横30cm高さ20cm以上はあるだろうかぼちゃを抱えている。
彼の想像ではもう一回り小さいものだったらしいが、事はそう上手くは進まない。
商店街を通り抜け、駅へと辿り着く。
「かなた。オレの分の切符も一緒に買って・・・」
「・・・分かった」
あきれながらも、二人分の切符を購入する。
「で、そのかぼちゃ何に使うんだ?」
「何?かなた。それ、本気で聞いてる?」
彼の分の切符を改札に通しながら、尋ねたが逆に尋ね返される。
永夜が、どうにかという形で出てきた切符を取っているのを確認してから、自分の切符を入れた。
「想像はつくけど、念のため。そんなバカなことする訳ないと思って」
「うわぁ、痛いなぁ・・・その言い方。多分、そのご想像通りデス」
「本気か?いや、正気かよ?」
「だから、ひどいって!そこまでいう事」
「冗談だ。何もそこまで思っちゃいないよ」
彼の言葉をさえぎり、笑いを抑えながら言う。
「・・・・・・・・・・。かなたさん?」
「ほら、電車来たぞ?」
彼を置いて、一人さっさと電車に乗り込む。
「乗らないのか?じゃあな」
ホームに残ったまま、何か考えているらしい永夜に手を振ると、それと同時ドアが閉まり始めた。
はたと視線が合う。
「うわっ、待った!オレも乗るって!」
慌てて彼が乗ったところで、扉が閉まりきり電車が動き出す。
「ったく、何やってんだ。恥ずかしい」
「あのな・・・いや、いいよ。もう。わざわざ、付き合っていただきありがとうございます」
「ん、よろしい」
放課後真っすぐ帰る予定が、彼のおかげで総崩れだった。無理やり連れてこられて、現在にいたる。
僕の不満に彼が気づけばそれでいい。
それ以上は求めない。
「親しき仲にも礼儀あり」それが、長く付き合うコツだろう。

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