「やっぱ、お前バカだろ?」
「オレだってここまででかいなんて聞いてないッ」
永夜は、横30cm高さ20cm以上はあるだろうかぼちゃを抱えている。
彼の想像ではもう一回り小さいものだったらしいが、事はそう上手くは進まない。
商店街を通り抜け、駅へと辿り着く。
「かなた。オレの分の切符も一緒に買って・・・」
「・・・分かった」
あきれながらも、二人分の切符を購入する。
「で、そのかぼちゃ何に使うんだ?」
「何?かなた。それ、本気で聞いてる?」
彼の分の切符を改札に通しながら、尋ねたが逆に尋ね返される。
永夜が、どうにかという形で出てきた切符を取っているのを確認してから、自分の切符を入れた。
「想像はつくけど、念のため。そんなバカなことする訳ないと思って」
「うわぁ、痛いなぁ・・・その言い方。多分、そのご想像通りデス」
「本気か?いや、正気かよ?」
「だから、ひどいって!そこまでいう事」
「冗談だ。何もそこまで思っちゃいないよ」
彼の言葉をさえぎり、笑いを抑えながら言う。
「・・・・・・・・・・。かなたさん?」
「ほら、電車来たぞ?」
彼を置いて、一人さっさと電車に乗り込む。
「乗らないのか?じゃあな」
ホームに残ったまま、何か考えているらしい永夜に手を振ると、それと同時ドアが閉まり始めた。
はたと視線が合う。
「うわっ、待った!オレも乗るって!」
慌てて彼が乗ったところで、扉が閉まりきり電車が動き出す。
「ったく、何やってんだ。恥ずかしい」
「あのな・・・いや、いいよ。もう。わざわざ、付き合っていただきありがとうございます」
「ん、よろしい」
放課後真っすぐ帰る予定が、彼のおかげで総崩れだった。無理やり連れてこられて、現在にいたる。
僕の不満に彼が気づけばそれでいい。
それ以上は求めない。
「親しき仲にも礼儀あり」それが、長く付き合うコツだろう。
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