気の向くままに徒然と・・・
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プロフィール
HN:
遼 莉杏
性別:
非公開
自己紹介:
自称、「言の葉」使いの物書き。

遼 莉杏と書いてハルカ リアンです。


最近のマイブームは
『薬屋探偵妖綺談』シリーズ
羞恥心

創作仲間・相互リンクしてくれる方を常に募集中。
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№3

「どういうことだ?」
「そういう民族なんだよ。ケルト人って。正確な括りがないんだ」
「括りがない?」
「うん。ケルトってのは、ヨーロッパにあって2500年以上の歴史があると言われている。だけど、ケルト人たちは文字を持ってなくて、自ら歴史を書き残すような事はしていない。だから、あいまいで実態がとらえにくいんだ」
「文字を持たないのに、何故その存在が伝えられてるんだ?」
「文字が無くとも、残るものは残るさ」
そんな言葉を最後に彼はカボチャと真剣に向き合う。
「時々思うのだけれど、永夜」
「なに~?」
何やら楽しそうにカボチャと向き合う永夜は、見ていて面白い。
「お前のその無駄知識はどこから出てくるんだ?」
「ん~、時間だけは有り余ってたからね。なあ、どうよ?」
そう言って、彼がとびっきりの笑顔で見せたのはカボチャの表面に黒ペンで書かれた顔のようなものだった。
「・・・・・・・・」
「何?何で無反応なの?」
「お前、センスない。てか、下手すぎ」
「ひどっ。しょうがないだろ!美術だけは何度やっても2なんだ。1じゃないだけマシだろ?」
「別にお前の成績の悪さは聞いちゃいないよ」
「だって」
「だって、じゃないだろう?せめて、目の高さは合わせろ。どうして、口がそこにあるんだ。下手にも程があるぞ」
「・・・・ホントだ。ズレてるな」
真正面から、カボチャと見つめあい落胆している姿は、見ているこちらがせつなくなってくる。
「何で書いてる間に気づかないんだよ」
落ち込みたいのはこっちだ。
水性ペンだったらしく、先ほど書いた顔を消して再びカボチャと見詰め合う永夜と並んで、僕は冷蔵庫と再度向き合う。
「豪華にね・・・」
無い物は無い。
「なあ、さっきの続きは?」
「・・・何?」
集中しているらしく反応が遅い。冷蔵庫の中身から作れそうなものを考える。
鶏肉か・・・・。
「ケルトの話」
永夜から返事があるのを待ってから、短くリクエストする。
「・・・何?聞きたい?・・・ケルトはね面白いから語りがいがあるんだ」


「・・・文字をもたないのに、大層なものを残してるみたいだからな」
互いに、違うことに集中しながら会話をするので、独り言のように間があいてしまう。
軽く勢いをつけて手を離すと、自動的にパタンと冷蔵庫が閉まる。
カボチャの煮物にカボチャのスープ、ソテーにグラタン、プディング、アイスにすると保存がきくか・・・・。
鶏肉と卵を両手に持って、流しに向かう。
カボチャはまだまだ調理できそうもない。
「ケルト人ってのは、紀元前600年頃に古代ギリシア人が異民族を「ケルトイ」って呼んだのが始めで、それはケルト語を話す分化集団の名称で国や人種の事じゃないんだ」
単調な作業になったらしく、彼の意識は喋る方に向いている。
「つまり、ケルト語を話す人がいれば、そこがケルトなのか?」
「ん~。まあそうゆう事だね。でも、正確には言語・考古・神話・美術などからなる、ヨーロッパの特定の文化をケルトと言うんだ」
「難しいな」
「それが面白いんだろ。カボチャ、削ったのどうすればいい?」
「じゃ、コレに入れといて」
大き目のボウルを取り出し、彼に渡す。
「まあ、そんなケルトの人たちにとって明日は冬の始まりな訳。つまり、今日は夏の終わりにあたる」
「夏と冬しかないのか?」
「うん。そもそも、日本みたいに四季がはっきりしてる方が珍しいんだ。驚く事じゃない」
「だよな」
「そんな夏の終わりは、収穫の時期。そんな収穫を祝い、悪い自然霊や魔女などを追い払うそれがケルト・ドルトイ教の祭り」
「あれ?ケルトってヨローッパにあったんだよな?アメリカでやってるのは何なんだ?」
かぼちゃが来ないかぎり料理は進まない。永夜が削っているのを眺めながら、僕は尋ねる。
「ん~。アメリカのはキリスト教の万聖節の準備の前夜祭で、それにアメリカに移り住んでいたケルト民族がケルトの祭りの要素を加えた。つまり、ヨーロッパ経由で米国に持ち込まれた風習って事」
「アメリカ発祥じゃなかったんだ。意外だな」
「そ、ちなみに日本で大きく広まったのは2000年前後。最近の話だったりするわけだ。一応、引き金引いたのは、日本最大のテーマパークさんだって言われてる」
「あの、2足歩行のネズミがいる?」
「その表現もどうかと思うけど、97年からイベント始めたっていうから、ドンピシャだと思うけど、もう1こ説がある。イギリス産まれの魔法使いで、何気なく錬金術ちっくなものが出てくる」
「ああ、あのおかしな社会現象おこしたやつね。俺は、朝から本屋に並ぶ人間を始めてみた。あの時の日本人の凄さを思い知ったよ」
「いや、おもしろい視点だね。かなた。オレ、はたった今お前が凄いと思ったよ」

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