彼、曰く「これは自分自身の事だからお前はどうなってるかは分からない。これから徐々に分かっていくだろう。」という事だった。
そして、参考までに彼自身の事を教えてくれた。
1.ケガはするが普通の人の何倍も早く治る。もちろん痛みはある。
2.病気はしない。しかし、風邪くらいは引くらしい。(つまり、ヒサヤが経験していないだけで、実は大病もあり得るということだ。しかし、絶対に死なないという保障つき)
3.食事は取らなくてもOK。しかし、体力がなくなるので不便。睡眠も同様。
そして、絶対にヒサヤだけに言える事がいくつかある。それを、契約の代償と呼ぶらしい。
「オレは、お前と違って完璧に死んだ人間なんだよ。何てたって悪魔と契約してるんだから。しかも、特別な方法で。」
完全に死んでいるのに不老不死なのか?
「悪魔と?…どう違うって言うんだ?」
頭で考えていた事とは別の事を質問する。
何となく、訊いてはいけないのかもしれないと思ったからだ。
「ん~。どうって聞かれると困るけどな…。ある意味人間離れしてるから。」
「どこらへんが?」
今まで、けっこう長い間彼を見てきたが「人間離れ」しているところなんて一度もみていない。
「いや、だってほら、お前を不老不死にしたり、学校に通ったり」
「学校?」
「そう、普通に考えてオレやお前が現在進行形で、学校に通ってるのおかしいと思わないか?」
そう言われてみればそうだ。僕はとっくの昔に高校は卒業したはずなのだ。
何がどうなってるっていうんだ…。
「ちょっと待て、混乱するなよ?簡単な話しだ。記憶操作さ。」
「記憶…操作?」
「そっ!学校の連中全員に。それと同様に、お前の元友人たちや、この家のご近所の皆さん。一人一人、全員にやってたら予想外に何年もかかちまったけど。ついでに言うと、戸籍上ではお前、死んでることになってるから。関係ないけど、必要最低限の調味料とオムライスの材料用意しといたのも、オレだから。その他色々辻褄合せはオレの特技です。」
少し、おどけた感じに語る彼はとても楽しそうにしている。
しかし、これで空白があった事に説明がつく。ついでに、しょう油の矛盾も無くなった。
そして、簡単に言っているが、割とすごい事を言っている。戸籍上では死んでるって…。
少しショックだ。
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