語りだしはこうだ。
「不老不死ってのは、まあ読んで字のごとく、老いないし、死なない存在だ。んで、俺らは今、現在それなわけ。」
そんな風に軽い調子で語るものだから、冗談にしか聞こえない。
「ついでに言っておくと、オレが生まれたのは1853年、え~っと、日本で言うと、江戸の終わり近く、丁度ペリーさん来航の年だな。世界で言うとクリミア戦争が始まった年だったかな。イギリスでは何やってた時だっけな?」
「つまり?」
「あーっと、今年で147歳だな。」
自分の年齢もわからないのかコイツは。まあ、でも、こればっかりは、常識を超えた年齢だから仕方がないのか?
というより、暗算力の問題か…。
「149だろ。」
「マジ?」
「マジ、なんだろう?」
「うっそぉ!オレ、来年150歳?すっげぇー。」
自分で驚いてどうするんだ?
「ヒサヤ・キアロ・デフェル…だっけ?どこの国?」
我ながら変なことを聞いていると思う。もっと他にも聞かなければいけない事がたくさんあるはずだ。むしろ、どこの国かなんて、ほとんど意味のない質問だ。
「ん~、一応、イギリス。」
答えを聞いて思わず永夜の全身を確認する。どう頑張って見てもイギリス人どころか外国人にはは見えない。
「ウソだろ?」
「あっれぇ~?かなた、知らないの?昔のイギリス人ってみんな日本人顔だったんだよ。わかる?」
ふざけた調子でそんな事を言うが…。
分かるか、そんなもん。
そう、彼はどちらか・・・どちらかなんて言えないほどの日本人顔だ。ハーフだと言われたのならまだ納得できるが…。結構薄い色素の髪は、確かに金髪に近く外国人っぽい。だが、目は明らかに黒目だ。黒目のイギリス人がいないとは言い切れないが、なんかこう、雰囲気が違うのだ。
「あからさまなウソをつくな。」
「う~ん。んな事言われてもねぇ。この顔は生まれつきだしな。ついでに言うと、天崎永夜って漢字と名前はオレが自分で考えたんだぜ。意味もあるんだ。天の字は大空とか、空にいる最高の神って意味がある。崎の字はけわしい、オレ的意味は大変だけど色々なことがあるイコール、楽しい。んで、永は普通に永遠。夜は、まんま夜。総合的に、オレの人生を表した名前ってわけよ。永遠に続く最高に楽しい夜ってね。」
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