そんな、生き方なら途中であきらめても良かったんだ。
何を目標に僕は今まで生きてきたのだろう?
近所の連中の中途半端な哀れみの視線は、思い出すだけでも腹が立つ。
クラスの連中がかけて来る言葉は、全て同情にしか聞こえなかった。
だから、高校では全てを隠して偽った。
月日が経てば、作り笑いをする事も、楽しい振りをする事も、全て旨く出来るようになった。
浮いた存在にならないように生きてきた。
そこら辺の人間と変わらないように…。
もう、慣れた。
母親がいない事も。
父親がいない事も。
胸が痛み出すのも。
独りでいることも。
意味のない嘘をつく事も。
自分を隠す事も。
無理やり、笑顔を作る事も。
答えの出ない、数々の疑問も。
気にしなければ、気にならない。
慣れてしまえば、何でもないんだ。
ああ…。
もしかしたら、何の理由も無いのかもしれない。
生きる理由も。
死ぬ理由も。
僕の存在も。
違う…
理由ではなく、資格か…?
すべては、周りがやってきた事で、僕自身は何もしていない。
だから、僕は…生きようとも、死のうとも思わなかった。
ああ、以外に納得のいく考えだ。
お…どう…た…い?
では、どうして、今この場にいるのだろう?
何故、僕は生きている?
誰が生きろと決めたんだ?
「おい!かなた!どうした?帰って来い!」
ふっと、閉じていた世界が開けた。
「へ…?」
いつの間にか、永夜の存在を忘れていた。
いきなり、目の前にいるものだから、正直驚いた。
「目を開けたまま寝るな。器用なやつだな。」
「べ…別に寝てた訳じゃない。お前と一緒にするな。ただ…。」
「ただ?」
「考えていただけだ。」
「ふ~ん。考える、ねぇ…。あんな、痛そうな顔して?苦しそうな顔して、何考えていたわけ?」
「痛そう?」
意味が分からない。別にどこも痛くないし、苦しくもない。
コレはもう、とっくの昔に慣れたものだ。
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