人というのは、恐ろしいものでその気になれば、何時間でも寝ていられるものらしい。
目が覚めたのは、お天道様が一番高い場所を通り過ぎた頃だった。
時間に表すと、午後二時を回っている。
ソファーの上で変な姿勢で寝ていたため、体のあちこちが痛い。
「っぁーっと。」
思いっきり伸びをしてみるが、あまり変化は無かった。
「風呂でも入るかな…。」
昨日から、ずっと制服を着っぱなしだった事を思い出す。
クリーニングに出すかどうか、迷ったが大して汚れていないし、皺にもなっていないから、またいつか、チャンスがあった時にする。
そういえば、クリーニング屋とかの会員制度などはどうすればいいのだろうか?ポイントカードは問題ないが、会員になるには、身分証明書の提示を求められるもの存在する。
それらは、身分証明が出来ないのでは、話にならない。
「まだ、寝てんのか?あいつ。」
起こすのは、風呂から上がってからでいいだろう。今は何より、制服を脱ぐことを優先させたかった。
「あれ?起きたのか?」
「うぃ~。はよっす。」
「はよ。」
風呂から上がると、ソファーに座ってテレビを見ている永夜がいた。
絶対、起こさなきゃ起きないと思ってたんだけどな…。
「なぁ、オレも風呂入りたい。」
「どうぞ、ある物好きに使ってくれ。タオルは棚の中に入ってる。」
「サンキュー!」
ソファーの背もたれに手を掛け、勢い良くそれを飛び越える。
「無駄な動きするやつだな…。」
「ん?何か言った?」
「いや、別に何も。そういや、風呂上がったらなんか食うか?」
口に出すつもりは無かったのに、出してしまった事に少し慌てる。
「何?何か作ってくれんの?」
嬉々として尋ねてくるが、あいにく冷蔵庫は空っぽだ。
「いや、無理。冷蔵庫が空だから、買い物いかなきゃな…。だから、今はパンしかないぞ。」
「なぁんだ。まあ、それでもいいや。腹減ったし。準備ヨロシク!」
そのまま、去っていくかと思ったら。彼は再び戻ってきた。
「答え、出たのか?」
わざわざ、僕の目の前まで戻って来て、そう聞いてくる。
「ああ。一応。」
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