「何で僕に聞くんだ。本人に聞け」
「教えてくれんの?」
と、オネストは僕からレイブンへと視線を移す
「あ~、折角だから…秘密って事で」
てへ、とふざけた笑いを漏らして、ふざけた事を言うレイブン。
「教えてくれんの?」
と、オネストは僕からレイブンへと視線を移す
「あ~、折角だから…秘密って事で」
てへ、とふざけた笑いを漏らして、ふざけた事を言うレイブン。
「あっそ。だったら俺も絶対言わねぇ」
どこまでが、冗談か分からないレイブンの台詞に、本気で頭にきたらしいオネストが力を込めて宣言をする。
「うわっ!それとこれとは話しがべつだろ!オネスト、あんま我がまま言ってると、ホントに車掌に突き出すぞ!」
「だから!」
こいつら、もしかしてわざとやってるのか?
しかし、いつまでもこの調子で騒がれていたのでは迷惑だ。他の客にも僕自身にも。
「どうせ、貴族様だろう?」
「え?」「は?」
言葉は多少違えど、二人は似たような反応を示し、僕へと注目する。ちなみに、前者がレイブンで後者がオネストだ。
「会話、聞いた感じでは男爵家の人間だと思ったけど?どうせ、対した理由はないだろうから、あまり追求するな」
僕の言葉に、二人が同時に動きを止める。
「そうなのか?」
「な、何で知ってるんだ?あんた、俺にどっかで会った?」
「いや、一度も」
「あっ、もしかして、レイン。貴族マニア?」
おかしいなと首をかしげるオネストをよそに、レイブンが自信たっぷりに聞いてくる。
「はあ?」
よりにもよって、貴族マニア?むしろ、そんな連中いるのか?
レイブンの発想に、僕はついていけない。
「なんだよ?それ」
と素直な感想をもらすのはオネストだ。
「だって、ほら食堂車でも凄い事言ってただろ、レイン」
「レイブン、別に僕は貴族に興味はないよ。ただ、貴族の人たちをたくさん見てきたから、なんとなくで言ってみただけだ」
一度、言葉を切って二人を確認する。
「それに、本人が誇示するほどの身分じゃないって言ってるだろ?けど、そいつの態度はどう見ても上の人間、下のものがいるって態度だ。だから、貴族の中でも低い地位の男爵だと思っただけだ」
「「へえ~」」
と黙って聞いていた二人が感嘆する。
また、深く突っ込まれるのが嫌だったので、僕は再び窓の外に視線を向ける。
「あ、駅だ。結構大きいな」
思わず呟いた僕の声を聞いたものはいなかった。
しばらくすると、列車は完全に停車する。
窓の外に視線を固定し、駅のホームを眺める。
「お前の相方すごいな」
「だろ?いや~、出会えて良かったよ」
「羨ましい。で、いつごろからの付き合い?もしかして、幼馴染とか?」
「ん?この列車内で出会ったんだよ」
二人の会話を適当に聞き流しながら、窓の外を見ていると、妙な団体が乗ってくるのが見えた。
どうやら、この車両に入ってくるようだ。
そういえば、僕はいつからレイブンの相方になったんだろうか・・・?
聞き流せない単語があったのを思い出す。
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