気の向くままに徒然と・・・
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プロフィール
HN:
遼 莉杏
性別:
非公開
自己紹介:
自称、「言の葉」使いの物書き。

遼 莉杏と書いてハルカ リアンです。


最近のマイブームは
『薬屋探偵妖綺談』シリーズ
羞恥心

創作仲間・相互リンクしてくれる方を常に募集中。
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「たまには、こうゆう情緒ある列車もいいわね」
「それは良かったです。申し訳ありませんでした。私のミスでチケットを手配できませんで・・・」
「いいのよ。ケイ。こうゆうのも楽しいじゃない。旅って感じで」
「ありがとうございます」
あからさまな、上下関係を示しながら歩いてくるのは、女性二人だ。
それを見て、あ、と声を漏らしたのはオネストだ。
しばらく、迷っているなと思ったら、立ち上がり、通路に移ったかと思うと深々と頭を下げる。
「お久しぶりです!エル女史!」
急な大声に、その場にいた全員が驚く。
エル女史だって?
「おい、レイン。誰だよ、エル女史って」
レイブンが何故か焦った調子で耳打ちしてくる。
「何でも僕に聞くな。彼女は、首都でも有名な学者だ。ついでに画家でもあり剣術師でもある」
手早く彼女について説明する。首都に住む人間なら誰でも知っている事だ。
でも、何でこんなところに彼女がいるんだ?
「その、お偉い方が、何でこんなオンボロ列車に乗ってるんだよ」
「だから、僕に聞くな」
こっちが聞きたいくらいだ。
なぜ、彼女がこんなところにいる?
「そんなに、深く頭を下げていたら、顔が見えなくて誰だかわからないわ」
頭を下げるオネストに、エル女史と呼ばれた女性が優しく声をかける。
「あ、えっと、フロー男爵家のオネストです。エル女史」
丁寧に答えたオネストを見つめ、エル女史は短く切り揃えられた茶の髪を手で触れながら、しばし考える仕草をみせる。
「あ~、分かったわ。でも、最後に会った時はもっと小さかった気が」
「それは、弟だと思います。先月会ったばかりですから」
彼女の記憶力はあまり良くないらしい。それとも、単に興味のない事は覚えないだけなのかもしれない。
「そういえば、そうね。けれど、オネスト?なぜ貴方がこんなところに?」
僕らのことなど、まるで眼中にないようで、二人の会話は進んで行く。
聞かれたくないことを聞かれ、しどろもどろになっているレイブンをエル女史は楽しそうに眺めている。
立ったままでいいのだろうか?
彼らを見ていて、そんな事を疑問に思う。けれど、列車はまだ出発する気配がない、揺れる事はないから大丈夫だろう。
しかし、他にも何人かいたはずだが、彼等はどこへ行ってしまったのだろうか?
「エル女史。お二人でいらしたのですか?」
同じように疑問に思ったのかオネスト尋ねる。
「いえ。他にもいるわ。騒がしいから、他の車両に乗ってもらったのよ」
ああ、なるほど。
「オレ、無理」
二人の会話を盗み聞きしていると、同じように聞いていたレイブンが呟いた。
「何が?」
「こんな会話、オレには出来ない」
「はぁ?」
「だって、さっきまでのオネストの話し方聞いてただろ。アレがどうしたら、こんな会話ができるんだ!」
あくまでも、小声で文句を言うレイブン。
「貴族ってのは、あんなもんだぞ」
「納得できない!」
せかっく、ここまで、小声で話していたのに結局、最後は叫んでいる。
冗談じゃない。
「悪い。レイブン、僕はちょっと出かける」
「え!?ちょ、何?急にどこ行くの?レイン!」
勢い良く窓を開き、そのまま枠に足をかけ外へ飛び出る。

「失礼!全員、動くな!」
 

急に大きな、しかも威圧的な声で叫ばれれば、誰だって動きを止めるだろう。
僕は、ホームに降り立ったままの姿勢―着地の姿勢なのでしゃがんだ状態だ―で動きを止める。
この状態だと、僕の姿は列車内からは見えない。
「この車両に乗っている者、全員座席につきなさい!」
そして、新たな人物が現れた。
声からすると男のものだ。
僕は、しゃがんだままの体勢で状況を判断するためにも、しばらく待つ事にする。
「あら、どうしたの?あなた達、そんなに慌てて」
「エル女史ではないですか?こんなところで何をやってらっしゃるのですか?」
「失礼ね。私もたまにはこうゆう列車に乗るのよ。ねえ?ケイ、私はそんなにこの列車が似合わないかしら?困ったわ」
困ったわとか、言ってるくせに声色はまったく変化していない。
猫かぶりな女だな。
「あ、いえ、申し訳ありません。エル女史」
少し、慌てた調子で謝っている。大丈夫かこの男。
「それで、あなたたちはいったい何しにここへ来たの?」
「はい。実はこの列車に先日の・・・」
で言葉は切れる。
どうやら、周りに聞かれることを気にしているらしい。
しかし、この男はいったい何者だ?
中を覗くために、そっと姿勢を変える。
「警察か・・・」
中を覗くと、制服を着込んだ複数の男たちがエル女史の周りに立っていた。
あの制服は、王国警察隊だ。
王国警察隊が何でこんなところにいるんだ?
真っ先にそんな疑問が浮かぶ。
そういえば、さっき先日とか言いかけていたな。
最近起きた事件と言えば、王子失踪と銀行強盗だ。
そして、王国警察隊が追っているのは、銀行強盗。
つまり、この列車に、銀行強盗が乗っているかもしれないと判断したのか・・・。
「では、エル女史。失礼します。君たちは?」
彼は職務に忠実らしく、早々にエル女史との会話を切り上げ、オネスト達に話を降る。
率先して喋っているのは、団体の一番前にいた無駄にガタイの良い男だった。
「待って?まずは、貴方から名乗ったらどう?」
少し不機嫌そうな声音でエル女史は言う。
「ああ、はい。私は王国警察隊、第一捜査部隊、隊長 アシエ・ドムスです」
その場にいる全員にというよりも、エル女史に向かって自己紹介を済ますアシエ。
「そう。じゃあ、アシエ。こちらは、私の友人。フロー家の次男、
オネストよ」
エル女史は、興味なさそうに返事をし、そばにいたオネストを紹介する。
残ったのはレイブンだ。

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