気の向くままに徒然と・・・
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プロフィール
HN:
遼 莉杏
性別:
非公開
自己紹介:
自称、「言の葉」使いの物書き。

遼 莉杏と書いてハルカ リアンです。


最近のマイブームは
『薬屋探偵妖綺談』シリーズ
羞恥心

創作仲間・相互リンクしてくれる方を常に募集中。
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「寝てる場合じゃないよ。キミが起きなきゃ次へ進めないだろう」
瑞希の周りではあまり聞かない声。中途半端に高いが、少年だと分かる不思議な声は機嫌が悪いのか全体的に言葉にトゲが生えている。
しかし、その事が彼女を現実へと導き出した。
「あ・・・」
目の前に見えたのは銀髪の不機嫌な顔。
「あ、じゃないよ?今、寝てたでしょ?」
「え?そんな・・・」
「事は無いって言い切れる?」
明らかに不機嫌丸出しのセツイは、何故か手に小さな花束を持っている。
不機嫌な表情で片手に花束を持ち、気だるげに立っている様子は何かの絵になりそうだ。
「まあ、いいや。やっと分かったから」
「分かったって?」
「瑞希がどうしたいのか」
セツイは澄んだ声でそう言いきった。それは、不機嫌さなんて微塵も感じられない自信に満ちた声。
彼の感情はころころと変わる。
「セツ、オ客様第一ネ」
そんなセツイを咎める様なシノは、何故か全身葉っぱまみれだ。
「それ、何?」
セツイの持つ花とシノ姿は関係があるのかと思いながら聞いた質問は簡潔すぎて相手に伝わらずに終わってしまう。
「見て分からない?花だよ」
しかし、対するセツイの答えもごく簡単なものだった。
花なんて、見れば分かる。
「セツ」
「分かってる。これ、何の花か知ってる?」
「ううん」
自慢じゃないが、花なんて分からない。タンポポとか紫陽花・向日葵・朝顔・薔薇・・・知っている花なんて数えられるほどしかない。
「ローズマリーにレモンバーム。代表的なハーブ、聞いた事くらいはあるだろ?」
瑞希はハーブと聞いて納得する。花束にしては随分とおかしな組み合わせなのだ。
「さて、話しを戻そう。何が見えた?」
小さな少女とその母親。
それは、見たことがあるようでない2人
「女の子とお母さん?」
「心当たりは?」
「さあ?知ってるような、知らないような・・・」
瑞希の言葉を聞き、セツイが天を仰ぐ。
「完璧だと喜ぶべきか、加減が出来ていないと悲しむべきか・・・」
前髪をかき上げながらセツイはそんな事を呟く。
「両方ナンジャナイ?」
暗いセツイの声色に対し、明るい調子でシノが応じる。


「キミ、16歳の誕生日がもうすぐなんじゃない?」
「え?そうだけど、何で知ってるの?」
天を仰いでいたセツイが瑞希へと視線を移し、そう尋ねてくる。
「いつ?」
「えっと、ちょうど1週間後かな」
一人納得したように頷きながら、彼は机に戻り寄りかかる。
「んじゃ、それだね」
「何が?」
まるで説明のないセツイの言葉に瑞希はついていけない。
彼はいったい何を理解し、納得しているのだろうか?
「時計の故障の原因」
「どうして?」
「まだ、思い出さない?」
正面からジッと見られ、セツイの不思議な雰囲気を嫌でも感じとる。先ほど彼に受け取った石はいつのまにか手の中から消えていた。それどころか、セツイがいつ手を離したのかも分からない。
セツイと目が合う事で思考が停止してしまう。
「思い出す?」
「『ママ』との大切な約束」
セツイが発した「ママ」という言葉は随分と機械的な感じがして、違和感を覚える。
「約束?」
先ほど見たのは少女と母親の約束を結ぶ場面。
みーちゃんと呼ばれていた少女。

『泣かないで、みーちゃんは強い子でしょ?ほら、もう大丈夫』
『痛くない、痛くないよ。みーちゃん、ママの顔を見て。ね?』
優しい声で、ちょっとの事でも泣いていた私をあやしていたのは・・・。
「ママ・・・?」
でも、何かがおかしくないだろうか?
母親は今も家で瑞希の帰りを待っている。彼女は私のことを1度も「みーちゃん」と呼んだ事はない。
そもそも、お母さんはお母さんで・・・瑞希自身も彼女を「ママ」と呼んだ事はない。
幼いころから「瑞希ちゃん」と呼ばれ「お母さん」と呼んで来た。
しかし、自分の記憶がおかしい事に気づく、彼女が瑞希の記憶の中に出てきたのは6歳の頃からだ。
それ以前の記憶の母親には、何故か顔がない。
「キミの願いは、『ママ』に会う事」


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