気の向くままに徒然と・・・
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プロフィール
HN:
遼 莉杏
性別:
非公開
自己紹介:
自称、「言の葉」使いの物書き。

遼 莉杏と書いてハルカ リアンです。


最近のマイブームは
『薬屋探偵妖綺談』シリーズ
羞恥心

創作仲間・相互リンクしてくれる方を常に募集中。
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見えないのら、見えるようにしよう。
確かにセツイはそう言った。
見えないものを見えるようにする。
そんな事を簡単に出来るのだろうか?
「シノ、持ってきて欲しいものがあるんだけど?」
「イイヨ。何ガ必要?」
「そうだな、ローズマリーと・・・レモンバームがいい」
「2ツモ?」
「ああ、それくらいは必要だろう。頼んだ」
「分カッタヨ。ガンバッテ持ッテ来ルカラ、待ッテテネ」
「ん、よろしく」
バサバサと音がしてシノが飛び立つのが分かる。
「という訳だから、そのまま少し待っててくれる?」
「うん」
頷いたのはいいものの、正直これは気まずいものがある。
瑞希は目を瞑ったままだが、目の前にはセツイがいる。
しかも、片手はまだ彼の手の中だ。
不自由でしょうがない。
しかも、機嫌が悪そうだ。
ブツブツと呟いて、何かを考えている。
本人は声に出しているつもりはないだろうが、思いっきり音になっている。
何を言ってるのかまでは分からないが、何かを言っているのは分かる。
「あの・・・」
「・・・・・・・」
「聞いてる?」
「・・・・・・・」
発言権は止められてはいないだろうと思い、セツイに声をかけるが返事は返ってこない。
「ちょっとぉ、返事くらいしてくれたっていいじゃない・・・」
セツイを真似るように、瑞希がブツブツつぶやき始める。
「ゴメン。悪いけど。ちょっと黙ってくれる?」
そんな瑞希に、セツイが冷たい声音で有無を言わさない事を言う。
「一応さ、キミのために考えてるんだよね。キミみたいな中途半端な客はめずらしいから、大変なんだよ」
ため息まじりにそんな事を言って、再び呟き始める。


ゆっくりと、落ちていく。何がどこに落ちていくのかは分からない。
けれど、落ちていくという感覚だけが確かにあった。

やがて、少女のすすり泣く声が聞こえてくる。それに重なるように母親の優しい声がした。
「大丈夫よ。また会えるから」
母の声を聞いた少女がフルフルと首を降る。
「大丈夫だから。みーちゃん、ママの顔を見て?」
俯いていた少女が顔を上げた。その顔を涙と鼻水でグシャグシャになっている。
子ども独特の思いっきり泣いた後の顔。
その涙がまだ後を引きずっているらしく、少女はしゃくり上げながらも母親の顔を見上げた。
「ね?みーちゃん。指きりしましょう?」
「ック、ゆび、きり?」
少女が涙を止め、母親の言葉を繰り返す。
「そうよ?みーちゃんとママの2人だけの約束」
「2人だけ?」
「そう」
「パパにはナイショ?」
「ええ、内緒にしましょう」
「うん!」
泣いていた筈の少女は笑顔で母親に抱きついた。
「さあ、みーちゃん。指を出して」
しかし、指を出したところで動きを止める。
不思議そうに首をかしげ母親の顔を見つめた。
「ねぇ、ママ。何をやくそくするの?」
「みーちゃんとママが、また会えるって」
「ほんとう?」
「ママが嘘ついた事ある?」
「ううん!」
「約束するわ、みーちゃん。みーちゃんが16歳になったらママ会いに来るから。それまでちゃんと良い子にしてるのよ?」
「うん」
「パパの言うことちゃんと聞いて、好き嫌いしちゃだめよ?ママはちゃんとみーちゃんのこと見てるから」
「うん。みーちゃん好き嫌いないよ!」
「うん。みーちゃんは良い子だもんね・・・」
言葉は途中で途切れ、母親は少女から目を逸らす。
「ママ!泣いちゃダメ!」
「うん。そうね」
「ハイ!ママ!ゆーびきりげんまん・・・」
少女の元気な声が遠のいて行き、やがて聞こえなくなる。

パチン!!

と耳元で大きな音がしたかと思うと、今度は不思議な声が聞こえた。
「さあ、目を開けて。ちゃんと見えただろう?」


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