見えないのら、見えるようにしよう。
確かにセツイはそう言った。
見えないものを見えるようにする。
そんな事を簡単に出来るのだろうか?
「シノ、持ってきて欲しいものがあるんだけど?」
「イイヨ。何ガ必要?」
「そうだな、ローズマリーと・・・レモンバームがいい」
「2ツモ?」
「ああ、それくらいは必要だろう。頼んだ」
「分カッタヨ。ガンバッテ持ッテ来ルカラ、待ッテテネ」
「ん、よろしく」
バサバサと音がしてシノが飛び立つのが分かる。
「という訳だから、そのまま少し待っててくれる?」
「うん」
頷いたのはいいものの、正直これは気まずいものがある。
瑞希は目を瞑ったままだが、目の前にはセツイがいる。
しかも、片手はまだ彼の手の中だ。
不自由でしょうがない。
しかも、機嫌が悪そうだ。
ブツブツと呟いて、何かを考えている。
本人は声に出しているつもりはないだろうが、思いっきり音になっている。
何を言ってるのかまでは分からないが、何かを言っているのは分かる。
「あの・・・」
「・・・・・・・」
「聞いてる?」
「・・・・・・・」
発言権は止められてはいないだろうと思い、セツイに声をかけるが返事は返ってこない。
「ちょっとぉ、返事くらいしてくれたっていいじゃない・・・」
セツイを真似るように、瑞希がブツブツつぶやき始める。
「ゴメン。悪いけど。ちょっと黙ってくれる?」
そんな瑞希に、セツイが冷たい声音で有無を言わさない事を言う。
「一応さ、キミのために考えてるんだよね。キミみたいな中途半端な客はめずらしいから、大変なんだよ」
ため息まじりにそんな事を言って、再び呟き始める。
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