「セツ、話シガズレテルヨ」
「あ?」
「今ハ、オ嬢ノ日本語関係ナイネ」
「そうよ、今はもっと違う事を話題にすべきでしょ?」
シノが見方についてくれと分かった途端、瑞希の態度は強気になる。
「ソモソモ、セツノ日本語モ可笑シイヨ」
「お前にだけは言われたくないな。鳥のくせにペラペラと喋りやがって」
折角、話を戻したのに再びおかしな方向に行ってしまう。
「あの、お願いだから説明を・・・」
一人と一羽が睨みあいを始めるのを、瑞希は控えめに発言を試みる。
「あぁ、忘れてた。シノ、頼むから少し黙っててくれ」
本気で忘れていたのか、セツイはケロッとしてそんな事を言ってのけた。
「デモ、セツノ話シダケダト足ラナイヨ」
「じゃあ、補足は後で。まずは黙ってろ」
「後でも、前でも途中でも、何でもいいから、お願いします!」
こうなたっら、何でも来いだ。
勢い良く頭を下げて頼み込む。
「あれ?何か違くない?」
そのまま姿勢でポツリと呟いて、現状のおかしさに気づく。
ここで、瑞希が頭を下げる必要はまったくない。
「分かったから・・・。まあ、立ったままも悪いから。はい座って」
自分が座っていた椅子を勢い良くこちらへと押し出す。
タイヤ付きだが、背もたれの付いてない椅子は上手い具合に瑞希の前でピタリと止まった。
「あ・・りがとう・・・ございます」
小さな声でお礼を言ってから、瑞希は椅子に座る。
対するセツイは、部屋から出って行ってしまう。
「どこ行ったの?」
「多分、小道具ヲ取リニダト思ウヨ」
「小道具?」
「必要ナモノ、アルカラネ」
「必要なもの?説明に?」
「違ウヨ。コレカラノ作業ニダヨ」
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