ここ数日で大分生活習慣が乱れたように感じるのは気のせいだろうか?
目覚ましもセットしないで寝たのが悪かったのだろう。
「十一時か・・・。」
枕元の時計を見ながら、僕はため息をつく。出かける予定が有る身としては、遅すぎる起床時間だ。
「そういえば・・・。」
永夜は起きてるだろうか?
適当に着替えて、リビングへと向かう。彼はソファーの上で寝ているはずだ。
扉を押し開け、中を見回す。
カーテンも開いておらず、明かりも点いていない部屋は、昼間だというのに薄暗い。
部屋の中ほどまで進み、彼の存在を確かめる。
「あれ?」
どうやら、ソファーの上にはいないらしい。
「永夜?」
どこともなく呼びかけてみるが、返事はない。
部屋の中央までやってきて、ぐるりと一周見回してみるが、それらしい影はない。
「どこいった・・・・?」
分けのわからない、焦燥感がやってくる。
誰もいない部屋。良く見れば、誰かが寝ていた気配なんて微塵も感じない。自然と下唇をかみ締める。
そんなはずはない。
理解のしようがない気持ちを押し込め、もう一度部屋を見る。
「あ。」
カウンターに置かれていたものに、目が止まる。
止まる事のない時計に、茶色の封筒。それを見て、少しばかり焦燥感が和らいだ。
夢だったのかもしれない。
一瞬でも思ってしまったことを後悔する。
じゃあ、なぜ彼は部屋の中にいないのだ?
ふっと思い立ち、部屋を小走りに駆け抜ける。目指す場所はいくつかある。
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