良く見てみれば、隅の方に父の手書きで数字が書き足されていた。
0311
住所?じゃないよな?
何だコレ。
地図に記されたこの場所にいったい何があるのだろうか?
しかし、悩む前にやることがある。
地図を机の上に置き、部屋を見回す。
そして、何をするわけでもなく、椅子に座っている永夜に目を向ける。
「永夜、邪魔。」
「え?何、急に。」
「だから、掃除。」
「ああ、そうね・・・オレ、何かする?」
「いらない。とりあえず、この部屋から出てけ。」
「・・・。なんか酷くないですか?」
「そうか?」
「そうです。」
ゆっくりとした動作で椅子から立ち上がると、ドアのところまで移動して立ち止まる。
「んじゃ、見学してる。」
「・・・。好きにしてろ」
一度だけ彼に視線を送り、僕は部屋の中を改めて見回した。
「寂しい部屋だな。」
色の無い家具で統一され、無駄なものは一切存在しない。
「変にこだわった部屋よりは良かったじゃない?」
「こだわり?」
「そう。例えば・・・壁一面にフィギアが並んでたり、とか?」
永夜は、一瞬だけ母の部屋の方に視線を送ってから、まるで違う事を口する。
「それはやだな、絶対。」
彼の言葉から、想像してみるが、それはあまりいいものではない。
「だろ?」
「ああ。」
何から始めようかと、視線をめぐらせると、時計に目が止まった。
「・・・・・・・。なあ、今って何時?」
「へ?今?えっと、ちょっと待った。」
言い終えると、彼はリビングへと消えていく。
僕はその間にもう一度、時計へ視線をおくる。
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