「あった・・・。」
クリアーキーを押してから、数字を打ち込む。
「ゼロ、サン、イチイチ?」
永夜がなぜか僕が打った数字を読み上げて考え始める。
あらかじめ差してあった鍵を回す。カチっと軽い音が響き、ロックが外れたことを知らせた。
「開いた。」
「お前の誕生日じゃん。」
「何が?」
「そのナンバー。」
「え?」
「簡単なアナグラム。並び替えてみろよ。うんにゃ、並び替える必要もないよな、この場合。ズレてるだけだもんな。」
彼の言葉はいまいち理解できない。黙り込む僕を見て、分かっていないと気づいたらしい永夜がテンキーを使って説明を始める。
「さっきの数字0311だろ?これを、1を最初に持ってくると?」
「1031?」
「思いっきり、10月31日だろ?」
「ホントだ。」
「だろ?で、何入ってたの?」
何で?
「かなた?」
「え?」
「中身。」
「あ、ああ。」
金庫の中身に手を伸ばす。一番手前にあったものを試しに取り出してみる。
「・・・・・何だ、これ。」
「プレゼントじゃないのか?」
お互いの中にあるものはきっと同じだろう。綺麗にラッピングされた細長い箱。昨夜の出来事が甦る。
「またカギだったりしないよな?」
「だから、言うな。」
丁寧にリボンを解き、包装紙を剥がす。
中から出てきたのは結構しっかりした箱で、中身が鍵でないことを期待させる。手ごたえのある蓋を開ける。
「あ・・・・。」
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