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遼 莉杏
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非公開
自己紹介:
自称、「言の葉」使いの物書き。

遼 莉杏と書いてハルカ リアンです。


最近のマイブームは
『薬屋探偵妖綺談』シリーズ
羞恥心

創作仲間・相互リンクしてくれる方を常に募集中。
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さくらの便り 7


「まあ、俺の事は置いといて
お前ら、そんなもん持って何やってんだ?」

「あー、そうだ。
これ置いてあったんですよ」

「そうそう。お兄さん心当たりない?」

うっかり忘れそうになったが
彼の問いかけで存在を思い出す。
一度地面に置かれたものに視線をやるが
どうも近づく気にはなれない。

クギが遠回りなど一切せずに問いかけた。

「心あたりと言われてもな。骨壺ね…」

彼は襟首あたりに手を持って行き考えるているらしく
視線が空に行っている。
そんな沈黙が落ちた中に、すとんと場の空気を壊す声。

「結構前のものだ、これ」

「…何で?」

シンがはっきりとそんな事を言い切り。
それに当然の言葉を投げるクギ。

「遺骨の色」

「ん~、とりあえず、墓回ってみるか」

ほんの少しだけ考えたクギがあっさりと答えを出す。

「いやいや、待とうよ。二人とも」

早速墓に行こうとするシンとクギを呼びとめた。
ちなみに、和武さんは傍観者を決め込んでいる。

「何?どうしたん?」

「二人だけで話を進めるなよ。何で遺骨の色見て
前のものだって分かって、そのうえ墓を回ってみるって言う結論にいたるんだ?

不満に思ってる事を一気にまくし立てれば
二人の動きはピタリと止まる。
 


「ソウ、遺骨って何色だと思う?」

小さくため息を零したシンがそう尋ね来る。

「白」

それにムッとしたおれは短く単語だけで答えた。
イメージのままに答えているので
本当に白いかどうかなんておれにはわからない。

何度も言わせてもらうが
おれの両親含めどちらの親戚一同皆々様
仲良くご健在だ。

故に葬式なんて経験したことがない。
あっても、皆が飲んだくれて終わる法事と言う名の飲み会ぐらいで
重苦しい雰囲気のものはまったくもって知らないものなのだ。

「それは最初だけ。と言っても濁った白なんだけどね。
それが、時が経てば酸化して変色してしまう」

「へぇ」

思わず感心してしまう。
確かに決して完璧に保存されている訳ではないものが
そのままであるはずがない。

罰あたりで不謹慎にはなるが
こんな状況になると誰かしらの葬式に参加してみたいとさえ思えてくる。
かと言って誰かいなくなってもいい人間がいる訳では決してない。

そんなのは自然の成り行きだ。
彼らの顔を思い出すと皆殺しても死なないような連中ばかりで
当分先の話になりそうだが。

「で、そんな数年前のものなら
ここにある墓のどれかから掘り出されたものだと
考えてもおかしくはない」

「だから、墓を確かめる?」

「そゆこと」

クギがシンの後を継ぎ説明を続ける。
そこまで聞けば納得だ。

「そうは言っても、墓を綺麗に戻されてたら
まったくわからないんだけど。可能性の1つを消すためにも」


 
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