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遼 莉杏
性別:
非公開
自己紹介:
自称、「言の葉」使いの物書き。

遼 莉杏と書いてハルカ リアンです。


最近のマイブームは
『薬屋探偵妖綺談』シリーズ
羞恥心

創作仲間・相互リンクしてくれる方を常に募集中。
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さくらの便り 11


本堂前まで駆け足でやってくると
桜の木の下に2つの人影が見える。

ちなみに走る気皆無な和武さんは
はるか後方を歩いていた。

一人は遠目でも分かる和武さんと同じような姿。
袈裟をはおった人物。

「あれが兄坊主の住職さんか」

クギの言葉を聞き
同じように思ったおれはそれに頷いた。

もう一人は男性だという事以外は
これといった特徴がみられない。

本堂の前を過ぎたあたりでシンが走るのを止め
ゆっくりとした歩みで二つの人影へと近づいてゆく。

やがて二人がこちらに気がつくと
シンが立ち止まり頭を下げた。

慌てておれ達二人も頭を下げる。

いや、あれはダレだよ。

というツッコミは受け付けない雰囲気だ。

頭を下げたこちらを不思議に思ったのか
二人の人物はこちらを見たまま動きを止めている。

確かに高校生3人組に
頭を下げられれば何事かと思うだろう。

「似てねぇな」

ぽつりと呟くのは当然クギだ。
兄坊主を見ての感想だろう。
声には出さないが同じ事を思った。

「こんにちは。どうかしましたか?」

意外にも先手は相手方だった。
兄坊主さんが俺たちに優しげな声で問いかける。

「こんにちは」

会釈と挨拶をしたシンを見て
兄坊主さんがどこか納得した表情を見せた。

「きみは確か、こないだの。今日もお参りに?」

「いえ。今日は別で」

どうやらシンはこの寺では有名人らしい。

不思議そうな顔をする兄坊主さん。

「少しお時間ありますか?」

シンの視線は兄坊主を通り越して
後ろの男に向けられている。

男は40代前半といったところか。
友達のお父さんといった雰囲気がある。

それはどんなだと
クギあたりにツッコまれそうだがそこはあれだ。
察してほしい。

「本貴さん、ですよね?」

訪ねてはいるがそれは確認の声でしかない。
どこか威圧感をも感じるシンの声。

「そう、です、けど」

対する男はどこか弱気だ。

「はじめまして、香坂と言います」

「本貴、です」

高校生相手にビビりすぎだろ。
目を合わせようとするシンに対して相手は俯いて名乗る。
これではどちらが年上か分からない。

「後ろのは友人の椚です」

軽く振り返りながら何故かクギだけを紹介するシン。
男は頭を下げるが、全く状況が理解できていない状態だ。
ちなみにおれもまったく理解できていない。

「で、ソウ」

名を呼ばれついでに前に立たされる。

「えっと、沢口蒼です」

「え!?」

おれが名乗ると男の様子が一変。

何ですか?

とは声に出せない。

なぜならば、すごい勢いで両肩を掴まれたから。

「あおい君??」

いや、今そう名乗ったじゃないですか。

と心の中で思うだけで
まるで状況が理解できない。

だれだよ、このおっさん。

唯一分かっているであろう
シンに助けを求めるが彼が動く気配はまるでない。

「え~っと、スミマセン。どこかでお会いしましたっけ?」

いまだ掴まれたままの両肩はこの際置いといて
相手との会話に専念する。

「君がまだ小さいころ、だから覚えてないかな?
近所に住んでいたんだが…」

小さいころ?


 
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