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遼 莉杏
性別:
非公開
自己紹介:
自称、「言の葉」使いの物書き。

遼 莉杏と書いてハルカ リアンです。


最近のマイブームは
『薬屋探偵妖綺談』シリーズ
羞恥心

創作仲間・相互リンクしてくれる方を常に募集中。
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さくらの便り 6


「そうだ、シン!届けよう、坊さんとかだれかしらいるだろ?
いなかったら交番とか!」

「交番に届けても、むこうも迷惑だろ」

迷惑って…あの人たちはそれが仕事じゃないのか?
声には出さずに己の中だけツッコミを入れる。
それと同時に何歩か下がってシンから距離を取った。
なるべく傍にはいたくないし、中身も見たくはない。

「あれ?」
「お、だれか来たぞ」

シンが不思議そうな声を出すのとクギが楽しそうな声を出すのはほぼ同時だった。
シンが骨壷の中に手を入れているのを横目に、だれが来たのかを確かめる。
自分たちがやってきたのと同じ方向に人影。

「ここの住職さんかな?」

「何をのんきに、まずいだろ。どう考えてもまずいだろ!この状況!」

「なんで?」

「だって、おれ達見ようによっちゃ墓荒らしだよ」

「あれは弟坊主」

「「へ?」」

俺の真剣な声をまったく無視したシンの声。
なんだって?

「あれは、住職の弟さん。ソウ、ほら」

「な、なに?」

シンの手の中には一枚の紙切れ。
それを受取ろうとしたところに、思ったよりも近くから声がかけられる。

「何やってるんだ?お前たち」

「わー、すみません。おれ達べつになにもしてませ…ん?」

不自然に上がる語尾。
慌てて頭を下げた俺だったが目の前にいる人物を見て思考回路は完全に停止した。

「何だ?それは?」

そう尋ねる声の主。
来ている服装はまさにお坊さんといった感じだが、何かがおかしい。
自分の知っているお坊さんはこんなではない。

というより、この人はお坊さんであっているのだろうか?
頭上でビシリとセットされた髪を見ながらおれは思う。

金髪オールバックな坊主は初めて見た。

しかも
両耳にはピアスがこれでもかと付いており
激しく着崩した胸元からからはごついアクセが覗いている。


まだ若そうなので20代後半といったところか。
彼は何を目指しているのだろう?
そんな疑問を抱きつつも黙って彼を観察する。

服装と見てくれのミスマッチ感がなんとも落ち着かない。


「あれ?お前この間のボウズか」

坊主はお前だろ
とツッコミたくなるのは
単に自分が根っからのツッコミ精神を持っているから
では決してないはず。

座り込んで、骨壺の中身を見ていたシンに向かって
多分坊さんであろう男が声をかける。

「こんにちは」

蓋を閉めた骨壺を地面に下ろし
立ち上がったシンが挨拶をした。

「お知り合い?」

それを見たクギが二人を順に見ながら尋ねる。

「知りあいってほどじゃない」

「つれないな。少年」

「相変わらずですね」

「まーな」

「やっぱり知り合い?」

「こちら、ここの住職の弟、和武さん。
忙しいときだけ家業の手伝いをしてるそうだ」

仕方なくといった風ではあったがしっかりとしたシンの紹介。

「んで、これら。俺のダチ」

「って、それだけなの!?」

思わず叫んだのは短く紹介されたおれたちではなく
坊さんに見えない似非坊さんの和武さんだった。

「言いたきゃ言え。聞きたきゃ聞け」

御尤もなシンの言葉。
それぞれの言葉の前には「名前を」という単語がつく。
しかし、最初の丁寧な対応はどこへいったんだ。

「シンと腐れ縁の椚明彦。お兄さん普段は何やってる人?」

軽く挨拶しながらも、あっさりとそんな事を聞いている。
やはり、気になるのだろう。

「何やってるように見える?」

「ロックな人」

「残念」

「じゃあ、無難にリーマン」

「できたら、親父とケンカしないで済んだな」

「ですよね。じゃあ、何か作る人」

「ほー。やるねー、ガキ」

「ガキじゃなくて、クギでーす」

「はい!えっと、おれ沢口蒼!で、ホントお兄さんは何やってる人なんですか?」

なにやら、不穏な空気を醸し出した二人の間に
無意味に手を挙げながら無理やり入り込む。

「あー、これらのデザイナーやりながら料理人目指してんの」

「うっそ、すっげ」

これらと、耳に付いたピアスを触りがら答えたがその後半部分は
結構衝撃的なものだった。

デザイナーやってりゃそれでいいじゃないか。
ダメなのか?


 
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