「あれ?お前この間のボウズか」
坊主はお前だろ
とツッコミたくなるのは
単に自分が根っからのツッコミ精神を持っているから
では決してないはず。
座り込んで、骨壺の中身を見ていたシンに向かって
多分坊さんであろう男が声をかける。
「こんにちは」
蓋を閉めた骨壺を地面に下ろし
立ち上がったシンが挨拶をした。
「お知り合い?」
それを見たクギが二人を順に見ながら尋ねる。
「知りあいってほどじゃない」
「つれないな。少年」
「相変わらずですね」
「まーな」
「やっぱり知り合い?」
「こちら、ここの住職の弟、和武さん。
忙しいときだけ家業の手伝いをしてるそうだ」
仕方なくといった風ではあったがしっかりとしたシンの紹介。
「んで、これら。俺のダチ」
「って、それだけなの!?」
思わず叫んだのは短く紹介されたおれたちではなく
坊さんに見えない似非坊さんの和武さんだった。
「言いたきゃ言え。聞きたきゃ聞け」
御尤もなシンの言葉。
それぞれの言葉の前には「名前を」という単語がつく。
しかし、最初の丁寧な対応はどこへいったんだ。
「シンと腐れ縁の椚明彦。お兄さん普段は何やってる人?」
軽く挨拶しながらも、あっさりとそんな事を聞いている。
やはり、気になるのだろう。
「何やってるように見える?」
「ロックな人」
「残念」
「じゃあ、無難にリーマン」
「できたら、親父とケンカしないで済んだな」
「ですよね。じゃあ、何か作る人」
「ほー。やるねー、ガキ」
「ガキじゃなくて、クギでーす」
「はい!えっと、おれ沢口蒼!で、ホントお兄さんは何やってる人なんですか?」
なにやら、不穏な空気を醸し出した二人の間に
無意味に手を挙げながら無理やり入り込む。
「あー、これらのデザイナーやりながら料理人目指してんの」
「うっそ、すっげ」
これらと、耳に付いたピアスを触りがら答えたがその後半部分は
結構衝撃的なものだった。
デザイナーやってりゃそれでいいじゃないか。
ダメなのか?
← →PR