さくらの便り 2
「せんねんじ?」
シンの言葉をそのまま繰り返すがどこの事だかさっぱりわからない。
「千に念じる寺で」
「千念寺」
「千念寺?」
もう一度呟くおれの横でクギも同じように呟く。
「知らないか?」
「どの辺の?」
シンの問いにクギが問い返す。
正直自分も聞き覚えの無い名だ。
「幸北の駅からすぐ」
「ウチのご先祖、最方寺だからな~」
「クギのご先祖様は今はどうでもいいし」
「二人とも全く知らないって事はよくわかった」
呆れたようなシンの声。
「帰り行ってみるか?」
そのままのトーンで意外な言葉が発せられた。
「「えぇ?」」
クギと二人して驚きの声を上げる。
だって今目の前にいるのはシンだ。
「何?」
「いいの?」
不審な声のシンの言葉など無視して
彼に抱きつかんばかりの勢いで確認を取る。
「あ、ああ」
一歩後ろに下がったシンには少しショックだが
そこは仕方ない。
「やった!行く、行く。少しでも何かわかるかもだし
実際にコレ見てみたいし!」
「にしても、シン良く分かるなぁ」