だいたい自分はこれを始めて目にしたのだ。
「何?触るのもやなの?」
うん、うん、うん。
と大げさに何度も頷きながらも頭に浮かぶ疑問を
考えるまでもなく口にする。
「でも、これなに?どなた?なんで?」
「知るか」
対するシンの答えはとてつもなく短い。
「ですよね」
「問題はどうするかだよな」
「え?」
「さすがにこのままにするのはまずいだろ」
白い箱を胸に抱え考え始めるシン。
おれからすると、それを胸に抱えていられるのがすごい。
白い箱は世間一般的には骨壺と呼ばれるもの。
「捨ててあったのか、意図的に置かれたのか
ただ置いてあっただけなのか」
今のところの身内はみんなピンピンしている訳で
こんな近くで目にしたのは初めてなのだ。
知識だけで知っているそれは、人の骨を入れるものであり
どこか不気味な印象がある。
故におれにとっては恐怖の対象でしかない。
「待てよ」
シンの独り言のような呟きを聞きながら
彼から1歩離れる。
「待て待て、待つのはお前だ!何を!?シン!」
彼の動きを見てそれがどのような結果をもたらすのか
容易く想像がつく。
「ソウ、煩いよ」
「いや、だって!シン、お前何するつもりなの!?」
「何って。中身、入ってるかどうか確認しようと思って」
蓋に手をかけたまま五月蠅そうに眉を顰めるシン。
「いやいや、確かめてどうすんの?まずいっしょ!
そういうの開けちゃまずいっしょ!?」
シンを抑えたいが、骨壺には触りたくない。
ちなみにクギは背後で笑い転げているいるので役に立たない。
ついでに言えば彼にとって何がそんなに面白いのかも理解しかねる。
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