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遼 莉杏
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非公開
自己紹介:
自称、「言の葉」使いの物書き。

遼 莉杏と書いてハルカ リアンです。


最近のマイブームは
『薬屋探偵妖綺談』シリーズ
羞恥心

創作仲間・相互リンクしてくれる方を常に募集中。
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さくらの便り 3



「住職に話が聞けるといいな」


学校から駅までの道のり。
もうほとんどの生徒が帰ってしまったらしく
歩いているのは自分たちだけだ。

「何かしら収穫があればいいけど」

クギの言葉に
返しながら考える。

毎年桜の写真を撮りに来ている人間がいれば
住職も覚えている可能性は高い。
けれど、そんな人間が一人とは限らないので
何とも言えないのだ。

「無くても花見でいいだろ」

「シンってさ、モテるよな」

「何を今さら」

「何それ?」

シンの言葉に少しばかり感動して
素直な感想を言えば、当然と言わんばかりのクギ。
それに対して眉根を寄せるシン。

「そう言うクギもモテるよなー」

「何、ソウ君拗ねてんの?」

「そーですね。どうせ、お前らとは生きる次元が違うさ」

「何、それ?」

桜の絵葉書の話をしていたいのに
どうも違う方向に行ってしまう。
そのまま意味のない会話をし続け
気がつけば目的地の駅だ。

「歩いてどれくらい?」

10分てとこ」

「結構あるな」

「そうか?」

ホームに降り立ち階段を昇る。
改札を出ればそこは少しばかり怖い場所だった。
駅自体は小さく、それしか存在しない。
しかも、不思議な場所で道路の真ん中に存在している。
駅のすぐ両側が2車線の道路。
なんか怖いよな。

「変な駅だな」

「地下鉄だからできる技だろ」

きょろきょろとする自分とクギを放って
シンはスタスタと先を行く。


「ホントに何も心当たりないのか?」

昔からある家が多いのか
平屋や敷地面積の大きい家が多い
どこか田舎を思わせる住宅街を歩きながら
シンが改めて訪ねて来る。

「そうそう。その3行とか
あきらかに知り合いっぽいじゃない」

うん。と頷く前にクギが会話に入る。
またそれに返事をする間もなく二人の会話が始まってしまう。

「夢を見ていますか?だったか?
どういう意味だ?」

「寝ているときに見る夢なのか
それとも、将来の夢の夢なのか?」

「どちらにしても面識ある人間の可能性が高いよな」

「そうなってくると
ソウの記憶引っ張り出すっきゃ答えはないねー」

「にしても、何で今年は来てないんだ?」

「まだ来てないだけとか」

「何かあったとか?」

「何か?って」

「知るかよ、入院したとか、色々考えられんだろ」

実はもう墓の中とか?」

「お前それ冗談キツイ」

「さーせん」

「ソウ、お前黙ってんなよ」

「いやいや、おれが会話に入る余地一切ないから」

二人だけで会話を
していたかと思ったら思い出したようにこちらに振ってくる。

「あのな

ため息混じりのシン。

「ソウだからな、シン諦めてくれ」

笑いながらクギにそう言われて抗議したくても
どこにどう文句をつけたらいいかが分からない。
というより、実際黙っているだけだったので何も言えないのだ。


 
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