相変わらず笑顔を貼り付けたままヨアケは
ボクの行動を見守っている。
彼の後ろには先ほど架かったばかりの大きな虹が見えていた。
「大丈夫。信じる事が大切なんだ・・・とはダレの言葉だったか」
「え?」
単にボクに自分を信じろと言いたいのかと思ったが違ったらしい。
仮面の様に張り付いてた笑顔を取り去り
真顔のヨアケがボクを真っすぐに見る。
「信じていればなんでも出来るというのは
大間違いだと私は思う。しかしね、コウタ君。
たまには何の根拠もなしに人を信じたりしてみてもいいと思うんだ。
別に私じゃなくてもいい。例えば・・・お母さんとか?」
「何のこと?」
「私じゃなくて、キミ自身に聞いてごらん。
さあ、行こう。虹が消えてしまう前に」
彼特有の笑顔が戻ってくる。
すっとボクから離れていく。
置いていかれるのかもしれない。
なんだか良くわからないけど、無性に彼に対して腹が立ってきた。
彼に出来たんだ。
ボクだってできる。
現にここに来たのだって良く分からない方法だったし。
だったら、飛んでやる。
めいっぱい息を吸い込み、一度止める。
目を閉じて。
一歩を踏み出した。