ダレに?
って聞いちゃいけない気がした。
何か、恐ろしい答えが待ってるような気がして。
「聞きたくない」
ボクは小さな声で答えた。
「もしかして気づいたのかい?」
ヨアケの声がほんの少し高くなる。
驚いているらしい。
ふるふるとボクは首を振った。
「じゃあ、どうして?」
「・・・だって」
言葉にならない。
「やっぱり気づいてるんだね?」
今度はコクンと頷いた。
きっとボクの考えはあってる。
くすりとヨアケが笑う。
「じゃあ、質問だ。お父さんの事は好き?」
「・・・嫌い。大っ嫌いだ!」
くすくすとヨアケが笑う。
「どうして?」
「だって・・・。だって、約束破った」
「でも、それは」
ヨアケが言葉にする前にボクはそれを遮る。
「仕方ないって分かってる!分かってるけど・・・。でも・・・」
「ごめんな」って言いながら、ボクの頭なでて笑う父さんの姿が思い浮かぶ。
謝らないで欲しかった。
そんな痛そうな顔しないでほしかった。
だって、しょうがなかったんだ。
父さんはわざと約束を破ったわけじゃない。
知ってる、分かってる。
だけど・・・。
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