「コウタ君だね。よろしく」
そう言って、彼は手を差し出してくる。
ニッコリと笑いながら。
ボクはゆっくりと手を差し出した。
「ほら、もうこれで知らない人じゃないだろ。
ちょっとした冒険に一緒に行こう」
腰を屈めた彼はボクの顔を覗き込みながらそう言った。
ボクは思わず1歩後ずさる。
「大丈夫、怖くはないよ」
「っ!怖くなんかない!」
ダレもいない川原に声が響いた。
最初ダレの声だか分からなかった。
自分の声だと気づいたのは、ヨアケが可笑しそうに笑っていたから。
慌てて両手で口をふさいだ。
「怖くないなら大丈夫だろう?」
ぐっと下唇を噛み締める。
「分かった。行くよ。おじさんに着いて行く。
虹の秘密ってのを見たい」
ボクは早口に一気に言い切った。
しかし、ヨアケの返事はない。
見ると、何故か片手で口元を覆っている。
「くくくっ。コウタ君おじさんはないんじゃないかな?」
「え?」
「できれば、ヨアケと呼んでくれないかい?」
「・・・?分かったよ。ヨアケさん」
うん。と満足そうに頷くとニコリと笑った。
「よし。じゃあ、まずは目を閉じて」
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