「ほら、お前ら、全員席に着け。学級委員、号令!」
ガヤガヤと騒々しい教室で、担任の先生が叫んでいる。だか、聞こえている生徒は誰一人としていないらしく、静かになる気配はない。
「チャイムはとっくの昔に鳴ってるんだ!お前ら席につけ!」
先ほどよりも、語気をあらげ、再び叫ぶ。
「大変だよな。先生って。」
ポツリと僕の目の前で、頬杖を付きながら呟く奴がいる。
「大変だよな、って言うなら席に戻ってやれよ。」
「ヤダね。」
「何で?」
「なんとなく。」
「反抗期。」
こうして、会話をしている間にも、先生はがんばっている。しばらくは、このままだろう。
高校に入学してから、半年。夏休みも終わったばかりで、これからは、文化祭や体育祭、楽しいイベントが待っている。そんなこんなで浮き足立った生徒たちを静まらせるのは大変だろう。騒々しい理由はそれだけではないが…。
「おい!学級委員!ちょっと、前、来い!一ノ瀬!村上!」
「あれま、かなた、ご指名じゃん。行ってらっさい。」
「めんどー。」
「おお、反抗期?って行かないのかよ。」
「行くよ。行かない方が面倒な事になる。」
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