「つまり、夢なのか、現実にあったことなのか判断がつかないって事だろう?」
「ああ。」
食べながら話し始めたのだが、食事はとっくの昔に終わっていた。
目の前のテーブルには、汚れが乾き始めた食器が二人分並んでいる。
僕は、この夢の話をするにあたって、自分でも理解していないことを、人に説明するのはとても大変なことなんだと改めて痛感した。
「夢に決まってるだろう?二十歳のお前がいたら、今現在、この場にいるお前はなんなんだよ?」
「さあ?なんなんだろうな?意外にこっちが夢なのかも知れない。」
「あーあ。」
「なんだよ?」
どこかあきれたような声をだす永夜を見ていると自然と腹が立ってくる。
それになぜか、当事者の僕よりも、全てを理解したような顔をしているし。
そんな彼を見ていると、何か知っているのではないかという気がしてくる。けれど、普通に考えてそんな事ありえない。
彼が僕の夢の話を僕よりも理解しているなんて・・・そんな事ある方が恐ろしい。
「お前のマイナス思考は相変わらずだな・・・。つーか、それ、死んでも治んないだろうなぁ?それから、今、現在、ココが!夢の世界だと言うなら、オレの存在はどうなる?」
「大きなお世話だ。」
一々突っかかってくるような話し方をする永夜に本当に腹が立ってくる。しかし、彼は言葉とは逆に、何故かとても愉快そうにしていた。
「・・・?」
一瞬何かが見えた気がした。
前にも一度、このようなやり取りをしたような気がする。
あれは、いつの事だったか?
しかし、今はそんな思い出に耽っている場合ではない。とりあず、自分以外の他人がこの話を聞いてどう思ったかが気になるので、改めて永夜に尋ねてみる。
「で、お前はこの話聞いてどう思ったんだ?」
「オレ?ん~・・・。夢だけど、夢じゃない。・・・って感じ?」
「・・・。って感じ?じゃねぇよ。はあ~あ。話になんねぇ。」
一瞬、何を言っているのか理解できなかった。夢だけど夢じゃないなんて、夢じゃなければ何だって言うんだ。だいたい、ついさっき、「夢に決まってるだろう」と思いっきり断言したのはドコのダレだよ。
「だいたい、お前が話し聞きたいって言ったんだぞ?」
「ん~。分かってっけどさ、なんか・・・・ね。」
「なんか、何なんだよ?」
「期待以下。」
「・・・。」
なんなんだ?こいつは?何を期待してたっていうんだ?
というより、何か知っているのか?
当事者の僕でさえ分からない事を、何の関係もない永夜が知っている。なんて、そんな事ある訳無いじゃないか。
もしかして、彼も何か関わっているとか・・・そんなことあるはずない。
これは僕の夢の話だ。
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