ピピピピ・・・・。
少し高音の、そして控えめな目覚ましの音で目が覚める。
けたたましい音に変わる前に、目覚まし時計をひっぱたく。
枕元にある、目覚まし時計とは別に置いてあるデジタル時計に目を向ける。
2002・10月三31日・月曜日・午前7時半
「ゆめ?」
まだ、覚醒しきっていない頭で状況を整理する。夢を、見ていた気がする。
「あれ?まだ、夢の中とか?」
昨日二十歳を迎えて、飲み会をして・・・。と頭の中で考えてゆくがどうも状況がおかしい。
夢を見ていたのか?
二十歳の自分と十四歳の自分。
では、今は?
少し頭が混乱しているらしい。
久々に見た夢のせいだろうか?
一時期、毎日のように見ていた夢。最近ではまったく見ることも無かったのに…。
どうして、急に…?
部屋を見回すと、いつもとは様子が違うような気がする。
何が違うのか?と聞かれて答えられるほど自信はないが、何かが違うのだ。そう、違和感があってしょうがない。
「夢・・・?」
もう一度、部屋をぐるりと一周見回すと、ある一角で視線が固定された。綺麗に吊るされた高校の制服。
「制服?高校の・・・」
どうも、おかしい。二十歳の自分?夢…だよな?リアルな・・・。少し視線をずらすと時計が目に入った。七時三五分。
「やばい!ちこッ・・・」
一瞬、目の前の世界が落ちた。
続いて、あまり聞き心地の良くない音がして、激痛が走る。
「ってえぇーえ・・・。」
あまりの痛さに思わず声をあげた。
状況を理解できなくて思わず考え込む・・・。
答えは単純だ。
立ち上がってベッドから降りようとした時に、布団が足に絡まり、ベッドから落ちた。そして、背中とお尻を強打した訳だ。
・・・って冷静に分析している場合じゃない。
バタバタと部屋中を走り回る。自室、リビング、台所、洗面所にトイレ。どうにか出かける準備をする。
ベッドに打ち付けた背中がかなり痛かったけれど、今はそんなものに構っていられる余裕は無い。
こんなとき、部屋の広さを恨みたくなる。
どうにか、準備を整えて玄関へ向かう。
ふと自分が手ぶらなのに気がついて、自室へと引き返す。
机の上に置いてあった鞄を引っつかみ、玄関へ。学校指定の革靴を引っ掛け外へ出る。
途中視界に入った時計は八時を過ぎていた。
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