1999年、世紀末、10月31日。何とかの予言もはずれ、世界は平和そのものだった。
まあ、世界平和と僕の間には何の関連性もないのだが・・・。
それに、僕が知らないだけで、世界のどこかでは、何かが起こっていたのかもしれない。
僕は20回目の誕生日を迎えていた。
久しぶりに会った旧友達は皆どこか変わっていた。全員の姿を見てそんな感想が浮かぶ。
リビングの絨毯の上で僕らはダイニングテーブルから、わざわざ外れたとこに車座になって陣取っていた。
「では、久々に会った事と二十歳になった俺たちの人生にかんぱーい!」
「「かんぱーい!!」」「いえーい!」
今日は僕の二十歳の誕生日ということもあり、久々に皆で会おうということになったのだ。みんな中学の同級生だ。一人小学校からの長い付き合いの友人もいる。高校のころまでは割りと会っていたが、進学や就職などが理由でみんな地元を離れていった。
僕は、両親が中学校のころに死んでしまったので、それ以来ずっと一人で暮らしている。今日の会場提供はそんな僕の家だった。昔から良くここに集まっていたため、一番居心地が良いらしい。
ずっと、メールや電話でやり取りをしていたのもあり、今も繋がっている。
全員が二十歳を迎えたらお祝いをしようと、前から企画していた。僕を含むこの五人の中で、誕生日を迎えるのが一番遅いのが僕だ。久しぶりに友達に会えたのは嬉しいが、僕はなんとなく気分が乗らない。
「しっかし、お前ら全然変わってないよな?昔のまんまだ。小さいやつは小さいまんまだし、デカイやつはデカイまんまだ。俺はこんなに変わったってのに。」
あっはっは!と妙な笑い方をしながら意味が通るようで通らない事を言う。そして、彼は自身の言うとおりものすごく変わっていた。当時、あだ名をつけるならば、絶対に「メガネ君」なキャラが彼だった。しかし、今、僕の目の前にいる彼は、似合わないカラーコンタクトに派手な色に染めた頭、とてもオシャレとは言えないような服装の男と化していた。ちなみに小さいというのは僕の事だ。今でも、小柄な方だが、当時は中学生平均身長よりも数センチ低かった。
「小さいって言うな。これでも身長伸びたんだぜ。今じゃ平均並みだ。つーか、お前が変わりすぎ。」
「あれ?お前仕事してんじゃなかったっけ?そんなんでよく仕事つけるよな?」
彼が仕事をしているということは、この場の全員が知っている。就職が決まったと言って、かなり素敵な数と内容のメールが届いていたからだ。
でも、こんな妙な容姿をしているというのは誰も知らなかったらしい。
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