「そりゃあさ、お前がどっかネジが足んないってのは、前々から知ってたよ?人と少々考え方がズレてるってのも知ってるけど・・・。ここまでおかしなやつだったとは・・・。普通、急いでるって理由でチャリ置いてくるか?優等生くん。」
「しょうがないだろ。忘れたモンは・・・。それどころじゃなかったんだよ。あんまり、ごちゃごちゃ言うな・・・。だいたい、絶対ネジが足んなくて、人と大分考え方のズレたお前にそこまで言われたくない。優等生は関係ないし、変な呼び方するな。」
「俺のことは良いんだよ、自分でも理解してるから・・・人と違うって。今は、お前の話しをしてるんだからな。それに、優等生を優等生と呼んで何がいけないんだ。んで、それどころじゃなかったって、何があったんだ?その赤くなった目と何か関係があるのか?」
「??」
言われて初めて気がついた。確かに目が腫れぼったい。
慌てて、目に触れてみるが、触ったところで分かるはずが無い。
「何?気づいて無かったの?ホレ。」
と言いながら、ポケットから小さな鏡を取り出し渡してくる。
「げっ。マジだ。」
途端に、顔が熱くなるのがわかる。
これは、結構目立つ。
というより、かなり恥ずかしい。
だいたい、高校生にもなった男子が泣き腫らした目で登校しくるなんて信じられないだろう?
しかも、遅刻までして…。
「ったく、失恋した女子高生じゃあるまいし。」
まったくだ。
けれど、おかしな話だ。
泣いた記憶なんて、これっぽちも無い。
確かに、嫌な夢を見たけど、あれのせいで泣いた事なんて一度も無い。
朝、起きたときも別に涙は流れていなかった。
他の可能性としては、疲れから来るものだが、そんなに疲れた覚えはない。
そこまで考えて、ふっと気づく。
「あれ?昨日って、何してた?」
記憶がまったく無い。
思い出そうとしても、今日見た夢の事しか思い出せない。
真剣に考えようと、頭を働かせるが、どうも旨く回らない。
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